イチローズモルト ダブルディスティラリーズ 46% (ロット26)
ストレートで飲むのは久しぶりでしたが、思いのほか甘味があり、色々と考えさせられました。
評価:A+
香りは、スポンジケーキ、カスタードクリーム、乳酸菌飲料、奥からウッディさ。飲むとサラッとした軽い口当たりで、パンケーキ、一呼吸置いてスパイス、余韻はかなり深く、ココアパウダー、スパイス、木のえぐみ。
イチローズモルト ダブルディスティラリー、通称DD、グリーンリーフのあれです。有名な割にテイスティングされている印象は全く無く、イチローズモルトの玄関的、イントロダクション的な存在が強いのでは無いでしょうか。今回、久しぶりにストレートでテイスティングしましたが、思いのほか好印象、というか下手な秩父のカスクより美味しいじゃないかと思うほどよく出来たウイスキーだと感じました。
普段はDDはハイボールにして飲んでいるので、ストレートでは滅多に飲まないんです。勿体無いと言われますが、イチローズモルトのハイボールは個人的にはかなりおすすめで、中でもホワイトラベルかこのDDは人に振る舞う時もよく作っています。
イチローズモルトのロットの確認方法は単純で、この右下に打たれた数字がそのままロットになっているようです。今回テイスティングしたのは左のロット26、右は最近戴いたロット54になります。微妙に記載が変化しているなど、この数年間の変化を感じますが、今回テイスティングしたロット26の出荷時期を考察すると、仮にひと月に1回のボトリングをしたとしても2年以上の開きがありますし、今回飲んだロットはおそらく3~4年程度前のロットかと推察します。となると2012年頃に発売されていたものでしょうか。
さて、今回久しぶりにテイスティングした理由ですが、大きく2つ確認したいことがありました。①イチローズモルトは本当にミズナラ香がするか?という疑問と、②DDはロットによりかなり差があるのでは?という噂の検証です。ぶっちゃけもっと少量でテイスティングして2杯飲む予定だったのですが、思いの外おいしくなっていて、ついつい新ロットを開けずに飲んでしまいました。
手持ちの文献を見ると、DDはシェリーパンチョンの羽生原酒とミズナラ樽の秩父原酒のヴァッティングという記載があります。これを正しいとすると、初期のリーフシリーズは3年未満の原酒を使っていた可能性がありますし、リーフのキーモルトは羽生だった可能性が高くなります。それが②の噂に繋がるのですが、今回は比較していないので言及はしません。
①についてですが、今回のテイスティングでは、秩父らしさとしてはウッディさや乳酸菌の感じはあったのですが、これがミズナラのニュアンスかというと疑問です。ミズナラの感じというのはもっと和の感じとしうか、樹海のようなニュアンスな記憶があります。いずれも山崎蒸溜所のミズナラ原酒を戴いた時の印象です。
結論付けると、このロットのDDに限って言えば、おそらく羽生のシェリーパンチョン、もしくは後熟で使用した樽の影響が強い。一方で秩父らしい味はミズナラ樽の影響の可能性は低いと考えます。では、この秩父らしさはどこから来るのか?長くなりましたので、続きは後日ということで、また考察していきます。