ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマンが、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

【初心者向け】ウイスキーの定義や分類など

 ここ数日で初心者向けの資料を作ってまして、せっかくですのでブログにも掲載しようと思います。美味しいウイスキーを飲むのが一番の目的ですが、そのためには最低限の知識があった方が、美味しいウイスキーにたどり着きやすかったり、また興味や関心も増えるかと思います。

尚、初心者向けカテゴリにはこれまでにも幾つか記事を作っていますので、そちらも参考にして戴ければ幸いです。

 

 

1.ウイスキーとは?

ウイスキーの定義を端的にいうならば、穀物を原料とした蒸留酒で、樽で熟成されたもの」と定義されます。しかしこのままでは多少わかりにくいので、いくつか分類して説明していきましょう。

お酒(酒類)は大きく分けて3種類あり、それぞれ醸造酒、蒸留酒、混成酒があります。蒸留酒とは、ビールやワインのように、原料を発酵させることでアルコールを生成し作られた酒のことです。アルコール度数はせいぜい10%と、低めなのが特徴です。一方、蒸留酒は、醸造したものに蒸留という工程を加えて出来たもので、ウイスキー、ブランデー、ラムやジン、ウォッカなどがこれに当たります。蒸留酒のうち、ウイスキーを名乗るためには、各国の法律をクリアしなければなりませんが、概ねの理解としては、「穀物を原料とし、オーク樽で(概ね3年以上)寝かせたもの」と覚えてください。

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2.ウイスキーの原料

 ウイスキーの原料は、穀物と水に大別されます。穀物は、大麦麦芽モルト)、とうもろこし、小麦、大麦、ライ麦などが用いられます。原料の比率などは、それぞれの地域ごとに法律で決められていることが多く、例えばモルトウイスキーであれば、大麦麦芽のみを使用することが定められています。

 また、ウイスキーを蒸留する際には、原料の半分を占める水の存在も非常に重要になっています。ウイスキーを仕込む水のことを仕込み水(マザーウォーター)と言い、ウイスキーの個性を生み出す要因の一つと言われています。良質な水源には蒸溜所が建設されることが多く、例えばスコットランドのスペイサイド地域にあるスペイ川流域には、およそ50以上の蒸溜所が存在し、グレンリベット、グレンフィディックといった名だたる蒸溜所も、このスペイサイドで作られています。

3.ウイスキーの分類

ウイスキーは、原料や混ぜあわせ方により、幾つかに分類されます。

まずは原料による分類です。

モルトウイスキー

大麦麦芽のみを原料に、単式蒸溜器で蒸溜したウイスキーのこと。それぞれが豊かな風味を持ち、個性の強いものが多い。

グレーンウイスキー

とうもろこし、小麦、未発芽の大麦などを主原料に、大麦麦芽を混ぜ合わせて、連続式蒸留機で蒸留したウイスキーのこと。癖がなくマイルドだが、個性に乏しいとされる。

世の中の大半のウイスキーは、このモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混合させたブレンデッドウイスキーです。ジョニーウォーカーカティーサーク、角瓶など、様々なところで売られているスコッチやジャパニーズウイスキーはこのブレンデッドウイスキーです。

また、モルトウイスキーは以下のように更に分類することができます。

シングルカスク

一つの樽からの原酒のみを瓶詰したもの。
その樽や原酒の個性が明確に出る。

 

シングルモルト

単一の蒸溜所(A蒸溜所)で作られたモルトウイスキーのみを樽詰めしたもの。
A蒸溜所で作られた原酒同士は混ぜ合わせても良い。
蒸溜所の個性が明確に出ることが多い。

 

ブレンデッドモルト

複数の蒸留所で作られたモルトウイスキーを混ぜ合わせたもの。

A蒸溜所+B蒸溜所…。

 

4.世界五大ウイスキー

 世界のウイスキー産地を大別して、世界5大ウイスキー産地という概念が存在します。今回はスコッチのみを扱います。その他にも、台湾、タスマニア、インド等様々な地域でウイスキーは作られています。

  1. スコットランド:スコッチウイスキー

  2. アイルランドアイリッシュウイスキー

  3. アメリカ合衆国:アメリカン・ウイスキー

  4. カナダ:カナディアン・ウイスキー

  5. 日本:ジャパニーズウイスキー

 

5.スコッチウイスキーの分類

 スコットランド全土のモルト蒸溜所はおおよそ140程あるとされています(一部休業、閉鎖含む)。スコッチウイスキーは、生産されている地域によって、およそ6つに大別されます。

①スペイサイド地方

②ハイランド地方

アイラ島

アイランズ

⑤ローランド地方

アイランズ

 

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①ハイランド地方Highland

 スコットランドは元々文化や民族の異なる北部ハイランドと南部ローランドの2つの地域に分類されます。ハイランドはケルト民族やゲール属の国で、ローランドはゲルマン系などが支配していたようです。

ハイランドでは、およそ40以上の蒸溜所があります。広範囲に渡るため東西南北に分類することも多く、地域ごとに様々な個性を持ったモルトが多い印象です。

②スペイサイド地方Speyside

スコットランドの北東にある地方で、上質な水源であるスペイ川流域では沢山の蒸溜所が存在します。この流域で作られるモルトをスペイサイドモルトと言い、全長160km程度の河川に、およそ50以上の蒸溜所がひしめき合っています。スコッチのモルトウイスキーの中でも華やかでバランスに優れたものが多いとされ、有名な蒸溜所である、グレンリベット(The Glenlivet)や、グレンフィディックマッカランといった、多くの有名な蒸溜所が存在します。

アイラ島Isle of Islay

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 アイラ島ヘブリディーズ諸島の最南端にある島ですが、独特のスモーキーやヨード、ピーティーと言われる独特の香味のあるウイスキーを生産していることで有名です。この地域で生産されているウイスキーをアイラモルトと言い、主にウイスキーの生産で成り立っている島です。アイラ島の北東部にはアスケイグ港があり、近くにカリラ(Caol ila)、ブナハーブン(Bunnahabhain)という2つの蒸溜所が存在します。カリラは比較的スモーキーなモルトが多いですが、一方でブナハーブンはスモーキーさやピーティーさの少ない、アイラモルトでは珍しいウイスキーです。

 南部のアードベッグArdbeg)、ラガヴーリン(Lagavulin)、ラフロイグ(Laphloaig)はヨード臭を伴うパワフルなアイラモルトが特徴的で、ラフロイグはあのチャールズ皇太子が愛飲しているという、お墨付きのウイスキーです。

島の中心部にあるインダール湾にはボウモアBowmore)蒸溜所という、アイラモルトの女王とも形容される蒸溜所があり、こちらもスモーキーで魅力的なモルトを多く輩出してきました。その対岸にはブルイックラディ(Bruichladdich)蒸溜所があり、2001年に再オープンし、ユニークなモルトを多く製造しています。

北西部には2005年にキルホーマン(Kilchoman)蒸溜所が設立されました。将来的に100%アイラの原料でウイスキーを作ることを目標に、小さな蒸溜所が動いています。

アイランズ

 アイラ島以外の諸島(アイランズ)を総称してアイランズと言い、そこで生産されたモルトアイランズモルトと呼称します。様々な個性を纏ったモルトが多く、一括りに特徴を語るのは非常に難しいですが、佳酒も多く、ハイランドパーク(Highland Park)、バランタインの原酒であるスキャパ(Scapa)、スパイシーでスモーキーなタリスカー(Talisker)、その他アイル・オブ・ジュラIsle of Jura)、アイル・オブ・アラン(Isle of Arran)、トバモリー(Tobermory)、アビンジャラク(Abhainn Dearg)、アイル・オブ・ハリス(Isle of Harris)などがあります。

⑤ローランド地方

 スコットランドの中では、エジンバラグラスゴーといった大都市を含むローランド地方。こちらで作られるモルトをローランドモルトといいます。歴史的にはローランドモルトは風味の軽い、ライトなウイスキーを造り、グレーンウイスキーブレンデッドウイスキーを大量生産し、19世紀には一斉を風靡しました。しかし近代化が進むに連れて伝統技術が廃れていくなどし、現在は次第に衰退し、現在でも創業を続けているのは、グレンキンチー、オーヘントッシャン、アイルサベイなどの限られた蒸溜所でのみモルトを生産しています。近年になり、ブラドノックやエデンミル、キングスバーンズなどの蒸溜所の再稼働や新規蒸溜所の建設が進み、少しずつモルトの生産も増えてきています。

⑥キャンベルタウン

 スコットランドのキンタイア半島の先端の町、キャンベルタウンで作られるモルトウイスキーをキャンベルタウンモルトといいます。19世紀後半には30を超える蒸溜所があり、かのマッサンでお馴染みの竹鶴政孝が最終的見学、実習したヘーゼルバーン蒸溜所はキャンベルタウンにありました(現在は閉鎖)が、現在は3つの蒸溜所が残るのみです。と言っても佳酒が多く、スプリングバンク、グレンスコシア、そして2004年に復活したグレンガイル蒸留所。何れも評価の高いモルトを排出し続けています。

 6.ウイスキーラベルの読み方

例を挙げて説明していきます。

このボトルはシグナトリーというボトラーズから出ているボトルです。ボトラーズはその商品ごとにレイアウトが大体決まっているので、慣れればすぐ読めるようになりますが、画像から解読をしていきます。

ここに書かれている文字を書き出していき、解説します。ボトラーズは詳細にかかれていることが多いです。特にシングルカスクですので、このボトルはたくさん情報が載っています。

 

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CASK STRENGTH COLLECTIONボトラーズのシリーズ名ですが、このシリーズではカスクストレングスでのリリースを特徴としています。

IMPERIAL…蒸溜所名です(インペリアル:閉鎖蒸溜所)

1995…蒸溜年

AGED 18 YEARS…熟成年数

SELECTED BY AND BOTTLED FOR ASTA MORRIS…これはアスタモリスというボトラーズに販売された樽であることを表します。つまり、アスタモリスがシグナトリーから樽を買い、アスタモリスから販売するといった形で売られたボトルになります。

Distilleried on:DD/MM/YYYY 蒸溜日

Bottled on:DD/MM/YYYY ボトリング日

Matured in a Hogshead 熟成した樽の種類。今回はホグスヘッドとしかわかりません。

Cask No 50147 カスクナンバー。

Bottle No: 31 of 289 瓶詰めされた本数(アウトターン)とこのボトルが何番目かを指します。

70cl つまり700mLです。

52.4% 度数を指します。

 

*1:Wikipedia:Scotch Whiskyの画像を日本語に翻訳