ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマンが、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

ウルフバーン オーロラ 46%

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WOLFBURN Aurora 
Alc:46%

評価:A+
ハチミツとミルクを入れたシリアル、フルーツの缶詰、グァバ、若々しい麦。
飲むとサクサクとした麦芽、エルダーフラワーやアップルといったオーガニックフルーツ、少し酸味の残る浅煎りの豆、わずかに紙っぽさ。

 

ウルフバーンのオフィシャルボトルより、オーロラです。

ウルフバーンは、スコットランド本島北端の街サーソーにある蒸留所で、1821年に創業したが、1877年頃までには閉鎖していた記録のある、短命な蒸留所だったようです。2011年にアンドリュー・トンプソンがグレンファークラスの生産マネージャーを務めていたシェーン・フレイザー、また元グレンリベットのイアン・カ-を率いてオープンさせた蒸留所です。NO AUTOMATIONにこだわり、ボトリングまで手作業という徹底ぶりです。蒸留所の設計はフォーサイス社で、酵母南アフリカのアンカー社のドライイースト、ウオッシュバックはステンレス3基、蒸留器は初留釜がストレート、再留釜はバルジ、ミドルカットが10%程度と絞っているのが特徴的とされます。

オーロラは20%のシェリーカスクがバッティングされているようで、先日伺ったセミナーや、家にあるテイスティングボトルで飲んでみました。若いながらも確かにフルーツ香が混じり合い、若いトゲトゲしさもミドルカットが狭いお陰かあまり感じることなく飲めます。原酒も敢えてライトに振っている感じがあり、ハイランドに寄せた作りをこれからもしていくのでしょう。まだ複雑さはないですが、嫌味のない仕上がりで、これからが大変楽しみなボトルでした。

セントジェームズ BBR 1970年代流通 43%

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St. Jemes's very old scotch whisky
86 proof 4/5 Quarter

評価:A++

香りは枯れ感のあるシェリー、皮付きブドウ、やや青めのプルーン、桃、しっかりとした麦の香ばしさ。
飲むと香り通りのフルーツ、桃とカラメル、クランベリー、遅れてややべたっとした甘み、紙っぽさ、樽のタンニン、余韻はベリーの甘み。

BB&Rのブレンデッドのフラグシップモデルとして生産されていた、セントジェームズのノンビンテージ表記、1970年代流通です。

 

ベリー・ブラザーズ&ラッドは1698年に創業した老舗で、当初は食料品店としてでしたが、1760年に王室にワインを献上、1903年には王室御用達としての許可証も授与されるワイン商としての活躍をされていました。現在は、エリザベス女王陛下とチャールズ皇太子殿下からそれぞれ御用達指定を受けています。

禁酒法の解禁に伴い、ライトなウイスキーが売れると確信し、1923年に初めての無着色スコッチとして、カティーサークを発売、これが大当たりしJ&Bに並ぶアメリカでの市場を獲得していきます。カティーサークは現在エドリントングループがライセンスを取得しています。

さてこのボトルは1970年代より発売されたブレンデッドのフラグシップモデルのようです。名前の由来は恐らくBB&Rの前にあるセントジェームズ通りに由来していると思います。1980年台にはセントジェームズ12年とビンテージ表記が付き、中身もちょっと変わってきています。

今回は70年代流通のノンビンテージもので、オールドシェリーっぽさやしっかりとした麦感、オールドの枯れた感じも出てきており、結構美味しいボトルでした。ちょっとベタッとした甘みや紙っぽさという、少しグレーンを思わせるような香味があったのが、あんまり得意じゃない自分としては微妙なところもあるんですが、それでもかなりの比率のモルトが入っているんでしょうか?結構飲みごたえがあり、グイグイ飲めるボトルです。

ホームのバーで開いていたので暫くそちらで飲んでいましたが、ついにこの前ラストショットになったのでテイスティングしました。不思議と時間が経過したほうが美味しくなっていたのが意外です。こういうものならオールドブレンデッドも良いなあと思わせてくれるボトルでした。

クライヌリッシュ 1982-2010 27年 ウイスキーエージェンシー パーフェクトドラム 55.1%

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Crynelish 1982-2010 27years
The Whisky Agency / The Perfect Dram 
Alc: 55.1%
CASK: BOURBON HOGSHEAD
O/T:236bts

評価:A++
香り 青リンゴ、ピーチ、ナタデココ、ヌリッシュらしいワクシーさと心地よい穏やかな麦感、麦汁の甘み、ややしっかりめのバニラ、ウッディネス。
飲むと香り通りの果実香、洋梨やリンゴのタルト、メロンのクリーム掛け、ハニーシロップ、口当たりはジューシーで濃厚、穏やかな麦感、少しグラッシー、生姜、やや強めのウッディネス。

 

ウイスキーエージェンシーより、過去にリリースされたクライヌリッシュ、当たり年と言われる1982年より27年熟成のものです。

クライヌリッシュはリリース数も多いですが、自分が知っているものでリリースが多い年は、
1972、1982←今回
1989、(1993)、1995、1997←イマココ
といったところでしょうか。
これがリリースされた時期はまだウイスキーに精通していない時期でしたが、スリーリバースさんの音符シリーズなどでも82ビンテージが出るなど、所謂当たり年といって良いビンテージかと思います。

実際に飲むと、青りんごやピーチ、少しナタデココのような中華デザート感や繊維質のある果肉かんもあり、またしっかりとワクシーもみられ、クライヌリッシュらしい出来だと思います。飲んだ時の余韻がややスパイシーが強いですが、それを差し引いても良い出来だと思います。自分は72や95のどっしりした感じが好きですが、この比較は好みの問題で比較するのも野暮かもしれませんね。何れにせよ美味しいボトルでした。

スプリングバンク ローカルバーレイ 1999-2016 16年 54.3%

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Springbank local barley 16 years old Spt. 1999- Jan. 2016
Barley source: Low Machrimore Farm
Barley type: Prisma
O/T: 9000
Alc: 54.3%

評価:A++~S
香りは白い花、フレッシュな麦感、ライム、オレンジ、イチゴやクランベリー、塩感やミネラル、弱めの土っぽいピート。
飲むと濃いめのオレンジジュース、フレッシュなイチゴ、シトラス、グレープフルーツ、しっかりとした麦の香味、嫌みにならない程度の樽感、しっかりめのブリニー、余韻は内陸の土っぽいピート、少しタール、粉っぽいテクスチャー。

 

スプリングバンクより、ローカルバーレイ、昨年リリースされたものです。
ローカルバーレイシリーズは過去に幾つか出ていたようですが、暫くローカルバーレイでの仕込みはしていなかったとのこと。1999年よりローカルバーレイでの仕込みが復活し、2016年に復活第一弾がリリースされました。

リリース当初は国別で味が違うんじゃないかという話がありましたが、どうだったのでしょうか。恐らく開くまで時間がかかるタイプでしたので、その影響もかなりあるんじゃないかと思います。

ホームバーで開いていて、ゆっくりと減っていくのを飲んでいましたが、開けたてのころにはピーティ、ブリニーが前面に来ていた記憶があります。

頃合いをみて何度か注文し、この前久しぶりに飲んだところでテイスティングしました。自分の感じ方も変わっていることは否めませんが、それを差し引いてもかなりいい感じになってきたように思います。

植物感やしっかりとした麦の香ばしさに、ライムやオレンジといった柑橘類、イチゴやクランベリーといったフルーツ感の香り、飲んだら濃厚なオレンジジュース(みかんジュースのほうが近いかもしれません)といったかなりフルーティーな要素に、バンクらしいブリニーやピートも見えてきました。

結構評価が分かれるボトルのようですが、かなり良いウイスキーだと思います。一方でスプリングバンクのピートを強く感じる方は苦手なボトルかもしれません。点数を付けるなら自分の中では90点くらいと捉えていて、大体Sになるかどうかと言ったところと判断しています。好みは分かれそうですので、敢えて幅をもたせた評価にしています。じっくりと付き合っていく中でどんどん良いところが見えてくるボトルだと思いますし、これからもどんな変化を見せてくれるのか、もっと美味しくなってくれるような気がして、今後が楽しみなボトルです。

なお、2017年にもローカルバーレイがリリースされており、これは見かけたら問答無用で飲むべきボトルです。2016年よりもフルーティーさがわかりやすく、より万人に分かりやすいフルーティーさだと思います。

しかし続けざまにこのクラスのニューリリースを連発するスプリングバンクは本当流石ですよね。皆様も是非見かけたらじっくりと飲んでみていただきたいモルトです。

レダイグ 11年 タイムシリーズ4 48% ウイスキー・エクスチェンジ

 

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Ledaig 11 year old
time series iv / The Whisky Exchange
Alc:48%

評価:A+
香りはオレンジ、ストロベリー、干し草、タール、レモン、塩素、ピスタチオ、動物性の脂、ミルク。
飲むとオレンジ、クランベリー、ハニーシロップ、しっかり目のタール、泥、クレゾールや塩素、余韻は強めのスパイシー。


ウイスキー・エクスチェンジのtimeシリーズより、第四弾、11年のレダイグです。ビンテージは公開されていませんが、2000年台半ばの蒸留と思われます。

マル島にあるトバモリー蒸留所。蒸留所は1795年または1798年とされています。スコットランドの中でも最古の蒸留所の一つとされていますが、元々はビールの醸造所としての色合いが強かったようです。19世紀、20世紀はほとんど生産されることはないと言われており、所有者も次々と変わっています。1897年にはジョン・ホプキンス社が買収し、1916年にはDCLがの一員となります。1972年にはレダイグディスティラリー社が買収しますが、すぐに他社によって買収されるなど、所有者は転々と変わっています。1993年にはバーン・スチュワートが買収していますが、粗悪なカスクで詰められていることが多かったようです。2013年4月には、南アフリカのディスティルグループ社に買収され、現在にいたります。説明不要かとは思いますが、トバモリーのピーテッドタイプがレダイグで、以前はポートエレンから麦を買っていましたが、現在はポートエレンの供給能力の限界に来ているようですし、内陸ピートを用いているのかもしれません(何せボウモアラフロイグもポートエレンの精麦を使えないという話を聞きますし、確かな証拠はないのですが、使っていない説が濃厚です。)。

今回は英国の酒屋、スキンダー氏の営んでいるウイスキー・エクスチェンジ向けのレダイグです。バックに良い資本でもいらっしゃるのか、芳醇なストックとオリジナルボトルの数々で、魅力的なボトルを精力的にリリースしています。今回はタイムシリーズの第四弾としてリリースされています。

さて、このレダイグですが、塩素感やタールのニュアンス、またかなりオイリーなニュアンスがあり、かなり刺激的なボトルではありましたが、様々な顔を見せてくれる面白いボトルでした。激しいピーティさを求めるのもいいですし、置いておくと今後どんな感じに落ち着くのかも気になります。恐らく好きな人も多いと思われる、グッドチョイスなボトルでした。

 

グレンアラヒー 1971-2013 42年 ローガシリーズ

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Glenallachie 1971-2013 42year old
Scotch Malt sales
40.5%

評価:A+

香りは高貴なエステリー。洋梨、桃、メロン、オイル、石鹸香。
飲むと洋梨、メロン、スイカの皮、洗濯物の石鹸、スミレ、やや強めの樽感。

1967年に設立された比較的新しい蒸留所であるグレンアラヒー。スコティッシュニューカッスル社による創業でしたが、89年にペルノ・リカール社が買収し、現在に至ります。

このボトルはスコッチモルト販売のローガシリーズで、長熟モルトのリリースにつけられている印象です。最近だとスペイサイドモルトのリリースや、長熟グレーンのリリースは記憶に新しいところです。

このボトルは4年くらい前のリリースだったかと思いますが、驚いたのはパフュームがあったことです。嫌味にならないレベルだったので飲めましたが、洗濯石鹸のようなそーピーなニュアンスがあり、個人的にはあんまり得意なニュアンスではありませんでした…とはいえ後に残る感じではなく、すっと消えていきますので、そこまで気にならない人は気にならずに飲めると思いますし、自分もこれくらいなら気になる程度で飲めるレベルでした。

勿論、ローガシリーズによくあるしっかりとしたエステリー感もあり、ソーピーなのが嫌いじゃなければ十分楽しめるボトルだと思います。グレンアラヒーでこんなボトルがあったんだな、と勉強になったボトルでした。

オーヘントッシャン 1990-2016 26年 モリソン&マッカイ セレブレーション・オブ・ザ・カスク スコッチモルト販売 プライベートボトル 53.9%

 

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Auchentoshan 1990-2016 26 year old
Morrison & Mackey "Celebration of the cask"
cask type:Hogshead, number:#4971
Alc:53.9%

評価:A+

香りはフルーティーでオイリー。オレンジ、ホットレモネード、バニラキャンディ、クリーム。
飲むとしっかりめの麦のコク、樽のタンニン、松ヤニ、月桂樹やユーカリの葉、マカダミアナッツ、少し紙っぽさ、余韻は長いウッディネス。

 

スコッチモルト販売のプライベートボトルとして最近リリースされた、モリソン&マッカイのセレブレーション・オブ・ザ・カスクシリーズより、オーヘントッシャンの1990年です。

 

オーヘントッシャンは、諸説ありますが1817年にジョン・バロックによって設立されました。当時はダントチャー蒸留所という名前だったようですが、22年に倒産、23年にはバロックの息子が買い戻しましたがまた26年には破産、34年にはバロック社のジョン・ハートとアレクサンダー・フィルシーに買収され、オーヘントッシャンという名前にリネームされます。その後も様々なところに所有権が写っていますが、1984年にモリソン・ボウモアが買収、その後サントリーが資本介入を始め、94年にはサントリーが資本となっています。買収前にも、88年からの資本介入、ボウモア蒸留所には89年頃から蒸留所の清掃などの介入が始まったと言われており、オーヘントッシャンもそれくらいから介入し始めたと聞いたことがあります。

モリソン・マッカイはそのモリソン家のブライアン・モリソンとケニー・マッカイが設立したボトラーです。ケニー・マッカイ氏はこの前来日されていたようで、こんな記事がありました(丁度このボトルの特設ページになっていますね)。

イベント :: 特集 :: ● モリソン&マッカイ社が誇るプレミアムレンジ「CELEBRATION OF THE CASK」

上のページにも書いてますが、現在蒸留所を建設中で、もうすぐ稼働するとのことです。同社はモルトの栽培も行っており、フロアモルティングなどもやるのでしょうか?気になるところです。

このボトルがリリースされたときは正直驚きました。モリソン&マッカイはウイスク・イーが輸入代理店を行っていますが、今回はスコッチモルト販売が輸入し販売しています。複数のインポーターが関与していることはよくありますが、にしても珍しいような気がします。まあ、昨今のボトラーズの樽の枯渇具合は半端じゃないという話は聞いていますので、特別なコネクションがなければ、ボトラーは単純に体力勝負となっていくのは自明ですし、恐らくそういう事情もあるんじゃないかと勘ぐってしまいます(あくまでも自分の感想というか妄想です)。どういう事情があれど、日本で良質なボトルがリリースされることは歓迎ですし、どんどんやってほしいと思います。

さて、このボトルですが、先週受けたスコッチモルト販売のセミナー・テイスティング会とサンプルボトル、何度か戴く機会がありました。サンプルボトルは最初硬い感じがありましたが、開いてくるとセミナー時に飲んだ感じと近くなってきました。ローランドらしい軽い原酒にフルーティーなニュアンス。紙っぽさもありますが自分が嫌味に感じるほどのものではありませんでした。少し松ヤニのニュアンス、ホットレモネードやバニラキャンディのようなニュアンスもあり、オーヘントッシャンらしい出来だともいます。

以前記事にしたオーヘントッシャンも程よいシェリーで自分好みなのですが、ローランドらしさ、オーヘントッシャンらしさを味わうのであれば、今回のボトルは非常にわかりやすくてお勧めな一本です。さすがのリリースだと思います。金銭面に余裕があれば一本ほしいところですが、自分なら店でたまに飲んで、らしさを確認したり、やっぱりこうだよなあと感じられるような飲み方をしてみたいです。malt.hateblo.jp