ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマン(20代)が、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

ブラインドテイスティング:ロイヤルブラックラ 1984 30年 ケイデンヘッド 54.1%

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評価:A++

香りはエステリーでメロウ。アプリコットキャンディー、メロン、バタークッキー、ハニーシロップ、バニラ、菜種油、嫌みにならない程度のウッディネス。
飲むとハニーシロップ、オレンジ、アップル、しっかりとした麦のコク、ミリングしたてのハスク、バニラ、少しグラッシー、嫌みにならない程度の引き締める樽感や粉っぽさ。余韻はオーキーだが嫌みは少なく、短め。


総評
しっかりとしたアップルやオレンジといったフルーツ感とバニラといった樽感、飲み進めていくとのみ応えがありボディもあるが、オーキーな樽感と淡く消える余韻が特徴的。バーボンホグスヘッド、やや過熟で経年変化により抜けてきたか?

年数 24-30年程度
地域 スペイサイド
度数 50-55度程度
バーボンホグスヘッド
蒸留所は不明。ケイデンヘッドのバーボンホグスヘッド(家にある92グラントのケイデンなど)に似たようなニュアンスが多い。スペイサイドのブレンド向けの蒸留所か。70年代グレングラントっぽいニュアンスもあったが、その割にはグラッシーなニュアンスがなく除外。グレンバーギ―などでもありそうだが、しっかり樽で味付けされており、上記の年数以上は流石に過熟か。
前情報からはオルトモア、他はグレンロッシーなどが思い浮かぶ。

 

以上の内容で送りました(考察はやや増しておきましたが、ほぼ同じ解答です)

結果は…

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ロイヤルブラックラの1984年蒸留、 30年熟成でした。

北ハイランドはインバネスの北東、ネアンの町近郊にあるロイヤルブラックラ。イングランドやローランドで多く売られたためか、ウィリアム4世のお気に入りとなり、1835年にはロイヤルワラントを授与されています。

現在はバカルディ社の所有で、以前セミナーで21年を飲ませていただきましたが、フルーティーで美味しい原酒だった記憶があります。デュワーズなどの原酒に用いられいますね。

正直素直なブレンド用の原酒で、ハイランド~スペイサイド系のモルトだろうということしか検討はつきませんでしたし、これのハウススタイルがあったら教えてくれよ!みたいに思いながら飲んでましたが、蒸留所以外のスペックはだいたい合っていたので合格としておきます。恐らく最初は樽感が結構あり、ドライでスパイシーなボトルだったと想像します。この香味と余韻の淡い感じは経年変化でかなりフルーティーに変化したボトルと想像しましたが、いいタイミングで戴きました。あるボトルを飲み頃の状態で戴く、これはボトルを持っている人達の宿命でもあり、辛いところでも楽しみなところでもあると思いました。そういう状態について考えさせてくれるボトルでした。

ラフロイグ 1997-2015 17年 シグナトリー・ウイスキーフープ向け 53.0%

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Laphroaig 1997-2015 17 year old
Signatory, Cask hand selected by THE WHISKY HOOP
Matured in a Hogshead
Cask #8369
O/T: 285 bottles

 

評価:A++

香りはナッツ、オレンジピール、ハニーシロップ、バニラ、シリアルフレーク、魚介だし、ピート、程よいウッディ。
飲むとピート、魚介だしや磯っぽさ、スモークした貝殻、ハニーシロップ、しっかりめの麦感。

ウイスキーフープ向けのラフロイグ、1997年蒸留のボトルです。
このボトルがリリースされたときは2015年の年の瀬で、ラフロイグのバイセンテナリーで、凄いラフロイグがたくさん飲めた年でした。自分は確か2016年のはじめに東京で頂いて、ボトラーズに時折見られる、フルーティーさが際立つボトルだなあという印象でした。

その時も美味しく頂いたのですが、最近になりよく行くバーで勧められたので飲んでみました。

以前飲んだときよりナッティーさや魚介ダシや燻製したようなスモーキーなニュアンスが多く感じましたが、フルーティーさも共存しており、複雑さは以前より増したような気もします。かなりいい仕上がりになっているラフロイグだと思います。

ラフロイグボウモアのトロピカル、フルーティー感は93年が有名で、このあたりは確かに凄い不思議なボトルが多いですが、ラフロイグはその以後もややフルーティーに寄ったボトルが見られる気がします。あんまりオフィシャルでは見ないのが興味深いんですが。理論的には麦汁の清澄度や酵母の問題なのかなと思ってしまいますが、他にも麦の品種のせいなのか、フロアモルティングのせいなのか、樽の影響なのか。正直良くわからないんですが、いろんな要因が重なって美味しくなってるんでしょう。このまま安定して美味しいボトルを輩出し続けてほしいです。

ボウモア 9年 シェリーカスク OB 40%

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Bowmore 9 yo Sherry Cask Matured
40%

評価:A

香りは焼け付いたゴム、空豆、黒糖、ボウモアらしい焦げ感のあるピート、焦げた木材。
飲むと口当たりは軽く、チェリー、パッションフルーツ、麦汁のうっすらとした甘み、焦げ感のあるピート、バニラ、魚介だし感、置いておくと少し紙っぽさが出てくる。

ボウモアのオフィシャル、9年です。
最近ですとボウモアの12年のラベルが変わったり、アイラフェス向けの19年が美味しいと評判でしたが、安ウマということで並行輸入で入ってきたこの9年も結構話題になっていた気がします。よく行くバーが仕入れてましたので、テイスティングしました。

焼け付いたゴム感や紙とも言わないけど近いようなニュアンスはありましたが、割と熟成感もあり、スイスイ行けるボトルです。

価格と味のバランスを考えると、文句を言えるようなボトルではないですが、グレンキースや短熟アイリッシュなどにあるようなボディの軽さを結構感じてしまい、40%まで加水されていることも考えると、何も考えずにスイスイ飲んでしまったほうが良いボトルだなーという印象でした。

ボトルの評価というものは結構難しく、主観で好き嫌いを表現するのは簡単なんですが、それをなるべく客観的に見ようとすると相当の鍛錬や姿勢が大事になっていくると思っています。ウイスキーを人に勧めたり、ウイスキーへの更なる理解をしようと思うと、出来ないとわかっていてもなるべく客観的にボトルを評価したいというのが本音じゃないでしょうか。このボトルは賛否両論あるようですが、ネガティブな要因と、4000円では得られないシェリーの美味しさが共存している点で評価が分かれるんだと思っています。個人的には求めているボウモアの味とはちょっと異なりますが、それをこの価格帯のボウモアに求めるのも筋違いな話だと思いますし、楽しめるモルトだと思います。カスクボトラーズをバカスカ飲んでいる人にはちょっと物足りないとは思いますが、オフィシャルのスタンダードをメインで飲まれている方に、ちょっと違うボウモアをお見せする形で提供するのは結構良いんじゃないかなあと思いました。是非一度ご賞味ください。

 

グレンファークラス 15年 OB 46%

 

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評価:A

香りは干しぶどう、ベリーティー、削りたての木、少しピーティ。
飲むとベリーのガム、木材、ココア入りのおからパウダー、少し香草のリキュール、程よいウッディ。

 

前回旧ラベルのファークラスを飲み、今回久しぶりに現行品を飲んでみようかなあと思い戴いた一杯です。

malt.hateblo.jp

現行品と比較すると、やや木材っぽいニュアンスや、ガムのようなベタッとした甘みが気になりますが、流石飲みやすく嫌味のあまりない仕上がりだと思います。

近年シェリー感も旧ラベルより強い印象はありますが、恐らくこれはJ&MM社のシーズニングシェリー樽の影響じゃないかと思います。下記リンクを読んで戴ければわかりますが、6ヶ月間オロロソ・シェリーを詰めた樽を使っているとのこと。

whiskymag.jp

ただこの価格高騰の時期にあって、この価格で安定して15年もののウイスキーがこのクオリティでリリースされているのは、グレンファークラスの膨大なストックがあってこそだと思いますし、シェリー樽のウイスキーを知る、一つの入口になるウイスキーだと思います。

余談ですが、グレンファークラスはマッシュタンや蒸留釜も大きいのですが、熟成庫も非常に広大なようで、他の蒸留所の樽も保管しているようです。先日スコットランドに行った方から見せられた写真はこちら。

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てっきりアベラワーなどの集中熟成庫においているのかと思いきや、ファークラスの熟成庫に様々な樽を場所貸しのような形で保管してあるようです。興味深い話が聞けました。

ブラドノック 1977 23年 53.6% レアモルト

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BLADNOCH 1977 23 year old
Alc:53.6% 
RARE MALT
# 4906

評価:A++

香りはメロン、洋なし、オレンジ、サワークリームフルーツグラノーラのようなドライフルーツとシリアル。
飲むとオレンジ、バニラ、グレープフルーツのわた、太く少し酸味のある麦感、やや強めの樽感。

 

UD社のレアモルトシリーズより、ブラドノック1977年、23年です。

1817年にローランドのウィグタウンに創業したブラドノック。オーナーは幾度と変わっていますが、1983年にアーサー・ベル&サンズが買収、ギネス社が1985年に同社を買収し、UD社の傘下とします。1993年には蒸留所は閉鎖され、取り壊しの危機にありましたが、1994年にレイモンド・アームストロング氏が買収、2000年に蒸留再開します。2014年くらいに不穏な動きがあったようですが、2015年にDavid Priorが買収、マスターディスティラーにはバーン・スチュワート社のブナハーブン、ディーンストン、トバモリーレダイグの製造からブレンディングを担っていたIan Macmillan氏が携わることとなりました。今年はバイセンテナリーで、5月頃より稼働を再開したようです。もう少し大々的な宣伝やボトル販売がされているとうれしいですが、そういう感じではなさそうです。

さて、今回のボトルはそのUD社が持っていた樽をリリース、と推測されます。レアモルトらしく樽で味付けされていない、ナチュラルなリリースが特徴的ですが、これも例外ではなく、モルティでエステリーなものでした。複雑さや重厚感こそないですが、嫌味が少なく美味しいモルトでした。全然みなくなったレアモルトですが、やはりいい出来ですね。

グレンファークラス 15年 46% オフィシャル 旧ラベル

 

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評価:A+

香りはなめし革、しっかりとした麦、少し酸味が強いプラム、バニラ、木香、少しピーティ。
飲むとトフィー、しっかりとした麦のコク、深煎りのコーヒー、リンゴのコンポート、プルーン、しっかりめのタンニン、少しピーティ。

グレンファークラスの15年、オフィシャルでのリリースです。素晴らしいシェリカスクのリリースの数々、家族経営、ガス直火炊きによる巨大蒸留器での蒸留…などとシェリカスクウイスキーが好きなら知っていて当然と言っても過言ではないグレンファークラスマッカランなどが高騰している現在も、良心的な価格でのリリースが行われており、ファークラスのポテンシャルや国内代理店のミリオン商事さんの努力も伺われます。シングルカスクでも魅了的なリリースは多いのですが、今回のボトルのように、オフィシャルボトルもかなり良心的な価格でリリースされており、初心者向けでまず飲むボトルとして、シェリーを味わうのならグレンファークラスが良いんじゃないかと自分は思っています。

しっかりとした麦のコクと、ド直球のシェリカスクの美味しさ。この価格でこの味わいなら十分楽しめますし、シェリカスクをあまり経験されていない方は、価格もお手頃ですので飲んでみられることをお勧めします。現行ボトルも美味しかった記憶があります。

三郎丸蒸留所を見学してきました。(加筆修正あり)

【7/8 修正 リリーフバルブの項目を加筆修正いたしました。】

先日、静岡蒸留所を見学した後、更に蒸留所見学に向かいました。

その1つが、富山県砺波市にある三郎丸蒸留所です。

三郎丸蒸留所は、GRNホールディングスの一つである若鶴酒造が運営している蒸留所で、以前こちらでも紹介しましたが、クラウドファインディングを達成し、改築工事や新しい機械が入り、これより新たなウイスキー造りの一歩を踏み出そうとしています。6月のとある日に一般公開前ではありますが、ご厚意で伺うことができました。

尚、一般公開は7月13日からと伺っております。

当時メモ帳を忘れたのでウル覚えですが簡単にレポートを書き上げていきます。

readyfor.jp

入口がキレイになっています。
富山のウイスキー製造・販売を担うお二方の背中からも、少し旅の疲れが見えると思います。

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ポットスチルが銅製に変わってました!
今まで通り、暫くは1基で蒸留するようです。

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スコットランドのものに分類すればストレートネックで、これは焼酎でいうKI式という蒸留器なのだそうです。

今回変わったことは、ネックを銅製にしたことと、薄くなりやすいスワンネック部を独立して取り替えることが出来るようにしたこと、減圧装置安全弁の設置*1スプリンクラーの設置*2です。現在のポットスチルは今までと味を変えないようにと同型のものを作成されたようですが、今後再留器の設計などは研究中だそうです。

焼酎蒸留設備|日本化学機械製造株式会社

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コンデンサーはシェル&チューブ、ワームタブの2つ使われている珍しい作りです。

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グリストのセパレートをされています。教科書的には2:7:1ですが、マッシュタンの形状もあり、3:6:1で行うようです。きちんと濾過が出来るだけの層を形成してくれるくらいにはグリストが必要なようで。

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それにしてもきれいです。

クリスプ社のヘビリーピーテッド麦芽1トンをミルにかけています*3
ミルはアランラドック社のAR2000。秩父蒸留所や厚岸蒸留所と同じものです。
個体差なのか気候なのか、各蒸留所でミルの数値が異なるようです。面白いですね。

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2階から見学出来る導線が作られていました。

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訪問時はまだ見学のパネルなどがない状態です。

現在、パネルなどの設置も完了したとのこと。

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改築されていますが、流石昔からの建物で、重々しい歴史を感じます。
60年以上ウイスキーを作り続けてきた蒸留所ならでは、といったところでしょうか。

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このように上から見下ろすことが出来ます。

見学時はまだウイスキーの蒸留はされていませんでした。

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今回の改修にあたり、効率的なウイスキー蒸留のための導線も見直したとのことです。

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糖化タンクを上から覗いています。

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熱交換器です。

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こちらは新調されたようですね。

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上から見たホーロー型のウォッシュバックです。
今まで散々書いてますが、三郎丸蒸留所ではエール酵母+ディスティラリー酵母の混合で発酵させるようです。
このあたりも実際に稼働されたところを見てみたいですね。

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昨年仕込んだ樽です。基本的にはバレルですが、他にもシェリカスクなどのカスクを使用していく予定と伺っております。

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三郎丸蒸留所のある砺波市は、人口5万弱の都市ですが、丁度金沢市富山市の中ほどにあり、訪れ易い場所です。北陸に一度来てみるとわかりますが、本当に雲の多い日照時間の短い都市です。その程度は太平洋側出身の人が北陸に住むと、その日照時間の短さにホームシックになるといった笑い話を聞いたことがあるくらいですが、ウイスキーにとっては非常に良い熟成環境じゃないかとも思ってしまいます。

新しい一歩を踏み出した三郎丸蒸留所、稲垣さんをはじめとする皆さんの熱意が新しい原酒を生み出していきます。今後が楽しみな蒸留所です。また必ずお伺いします。

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*1:温度低下時に内部が陰圧となったときに圧を逃がすリリーフバルブと呼ばれるもののようです。安全弁のようなものとのことでした。

*2:ポットスチルが2基ない状態では、前回蒸留時の香味が混合されてしまうという難点があります。その為、三郎丸蒸留所では、スプリンクラーをつけて洗浄できるように設計し、雑味が入らないようにしたようです。

*3:フェノール値は50ppmとのことです。