ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマン(20代)が、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

ご無沙汰しております(近況報告&ブログ開設から1年経ちました)。

もう1週間ほどブログが更新できずにいました。ご無沙汰しております。
単純に飲む時間がなかったり、疲れていたせいか上手くテイスティング出来ない時期が多く、完全にストックがないままの日々が続いたためにこうなってしまっています。

といいますのも、異動が決まりまして、最近の家での活動は引越しのための酒の梱包に追われていました。

あろうことか今までもこれからも賃貸暮らしなのですが、収納スペースに入らないモルトだらけで我ながら困惑しております。

その写真がこちらです。笑

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基本一箱に6本入ってますが、収納スペースに半分も入りませんでした。これから先どうしようか大変悩むところですが、どうしようも無いですね…笑

 

さて、こんな時期になんなんですが、実はブログを開設して1年経っていました。更新しろよ!というツッコミはさておいて、1年を振り返ると本当に色々ありましたし経験させていただきました。

2月に立てていた目標がこちらでした。

①今年中にテイスティング会を実施、継続的に行えるように計画
②福岡モルト
③積極的な東京・関西出張の導入によるひとりモルトツアーの開催
秩父蒸溜所再訪
⑤まだ行けてない国内蒸溜所ツアー(特に白州・宮城峡)
⑥厚岸と津貫は勘弁してください

 

 ⑥以外は既に全てクリアしていますし、余裕があれば⑥も達成したいところです。この一年でウイスキーの捉え方もかなり変わりましたし、正直1年前の記事を残すのは恥ずかしいくらいなんですが、良き思い出として残しておいています。

意外とドリンカーって儲かる要素が全く無いので、経験できることや小回りが効くことが多いなあとメリットも感じ始めています。ご縁があれば、出来る範囲でドリンカーとして色々とやっていきたいと思っている次第です。

まだ引越しも完全に終わっておらず、面倒な日々は続いているんですが、ひとまず生存報告でもさせてください。日常が戻りつつある頃にまた今までのように再開したいと思います。

giny

 

トバモリー 1995 21年 メドウサイド・ブレンディング ザ・モルトマン 50.9%

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評価:A+

香りは白い花、ハニーシロップ、チェリー、水飴、程よいクリーム。
飲むと若めのチェリー、ハニーシロップ、バニラ、粘性とスパイシーなニュアンス、少し削った木材、仄かにピート。

モルトマンよりトバモリー1995、21年熟成でのリリースです。

インナー・ヘブリディーズでスカイ島に次いで大きい島、マル島。西ハイランドの先端を切り取られたような形をしており、ハイランドで言うならアードナムルッカンやオーバンの近くにあります。マル島はリゾート地ですが、その北にあるトバモリーが島内の最大都市トバモリーで、その湾岸沿いに同蒸留所が建っています。

1993年にバーン・スチュワートによって買収され、シングルモルトとして販売できるようなモルトを製造する、と方針転換が図られたようです。熟成庫はあまりないため、蒸留所内に一部熟成させているほかは、ブナハーブンや内陸部の熟成庫で熟成されているといわれております。

トバモリーはピーテッドタイプを作っていることも有名で、これをレダイグと言います。今となってはトバモリーよりもレダイグのほうが良く耳にする単語かもしれません。今回は、このバーン・スチュワート買収後の1995年に蒸留されたものになります。

 

香味ですが、熟れていないチェリーやブドウの皮のようなニュアンスや、バーボン樽っぽいニュアンスがあり、結構良い出来に思います。トバモリーカスクの中には、チーズのような酪酸様の香味を発するものもありますが、このボトルに関して言えば、そのような香味はあまり感じられませんでした。いいボトルだと思います。
ちょっと気になるのが、価格。13000円位なら喜んで買えるのになあ…と思ってますが17000円ほどするようです。とは言え、世界的に高騰している手前、今後この程度の価格は当たり前かもしれません。

ブッカーズ フレッド・ノウ セレクト 6年 成城石井向け 62.5%

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評価:A++

香りはアップル、ダークチェリー、バニラ、小麦っぽい柔らかい甘み、ホイップクリーム。
飲むとプラム、アップル、マーマレード、焦げ感のある樽、輪郭のあるしっかりしたボディ、少し溶剤、バーボンらしい樽感。余韻は渋みのあるタンニン、コーンの甘み。

 

ここでは珍しく、バーボンの紹介を。

ジムビームのクラフト・バーボンシリーズでリリースされているブッカーズ。ビーム家のブッカー・ノウがセレクトしたスモールバッチがリリースされたのが名前の由来とのこと。2014年にビームサントリーがジム・ビームを買収してますが、その前のリリースで、「for Seijo Ishii」、販売者がアサヒビールと、時代を感じさせる表記です。

このボトルはフレッド・ノウのサイン入りボトルで、どこから手に入れたのか大変気になるボトルですが、そんなにバーボンを飲まない自分でもしっかりとしたバーボンらしい甘味や果実感があり、楽しめました。コーンっぽい余韻があるのがいかにも、という感じですね。

最近、ブッカーズの輸入も一時停止になるような話を聞いたりと、バーボン人気も相応に凄いようですね。プレミアムバーボンがいつまで飲めるのか…という心配も多少ありますが、大規模生産で熟成環境の整っている大手や、各種クラフトディスティラリーなどがどんどん参入してきており、こちらのシーンも楽しみですね。

エドラダワー 2005-2016 11年 醉俠The Drunken Master Whisky BAR 向け

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Drunken Master Bar Edradour 2005 11 Year Old Single Cask #100
First fill Oloroso Sherry Cask
Distilled: 03/05/2005
Bottled: 24/08/2016
62.8%
70cl
Limited 643 bottles

評価:A++

香りはしっかりとした甘いシェリー、プラム、オレンジの缶詰め、杏仁豆腐、シナモン。
飲むと香り通りのシェリーやフルーツ感、桃やプラムのコンポート、コーヒークリームのリキュール、シナモン、キャラメルナッツ、やや強めだが嫌みのないタンニン、程よい麦のコク。

 

今世界でもものすごい熱いウイスキーシーンである台湾は高雄にあるバー、醉俠The Drunken Master Whisky BAR向けにリリースされたエドラダワーです。形的にはイビスコシェリーと同じボトルの形状でしょう。何本かあるようですが、そのうちの一本のサンプルを戴きましたのでご紹介。

シグナトリーが関わってからの、2000年以降のエドラダワーはパフュームがなくなり素晴らしいリリースが多く、これまでも度々このブログでも取り上げていた気がします。
が、流石に普通ではまずお目にかからないボトルに興味津々でテイスティングさせていただきました(お目にかからないボトルばかり飲んでいるじゃないか、というツッコミはさておき)。

テイスティングコメントにあるような、例えるならイビスコシェリーや日本向けのエドラダワーなどにあるような、らしいしっかりシェリー系にコーヒークリーム感があります。また香りは杏仁豆腐のような酸味があったのが印象的です。

エドラダワーとなるとやはり気になったのは日本向けの9年との比較。昨年になりますがTWHが現地で見つけて、日本向けとしてボニリジャパンがリリースした話題のボトルでした。

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飲み比べもしてみましたが、Drunken Master向けは複雑は短熟のためかそこまでですが、それでもこの9年よりも多層的、草っぽさ嫌みがなく、シェリーの濃い感じも9年より少し抑えめです。かなり良いチョイスだと思います。飲んでて楽しいんですよね。

問題は、このボトルは直輸入で2万強!とコスパ面ではちょっと…と言わざるを得ないですが、ラベルも含め台湾のウイスキーシーンを投影するようなナイスチョイスのエドラダワーだと思いました。

 

以下ウイスキーとはほとんど関係のない話題なんですが、台湾絡みでご紹介。先日私が個人的に見ているブログでご紹介いだきました。実家が北海道ということもあり個人的にマイルをセコセコと集めているのですが、このようなマイラー活動の情報収集ブログはたいへん助かっていて、よく見ているんですよね。ANAなら台湾まで往復2万マイル位ですし、実家に帰る際もマイルなら比較的フラっと帰れたり、なんならスコットランドまでマイルで行きたいなあと思案していたり…。

まあそんなことをしている中でも、お世辞抜きにsasasanさんのブログは(マイラーとしてもブロガーとしても)結構参考にしていましたので、ジャンルは違えどご紹介いただき光栄です。基本的にこのブログではウイスキー以外の話題は扱いませんが、ブログを始めた当初では考えられなかったような形で読者がいらっしゃることはありがたいことです。人に伝える練習として始めたブログですが、やはり読者がいてこそのブログだと思います。また襟を正してアップしていきますので、よろしくお願いします。

www.sasamiler.net

グレンモーレンジィ タグタ

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Glenmorangie The Taghta
46%

評価:A+-A++
香りはアプリコットティー、プラムのコンポート、オレンジババロア、メロン、華やかな木香、サブレ。
飲むとオイリー、塩キャラメル、セイロンティー、アプリコット、しっかり目のウッディとタンニン、あけたてはアルコール感が強く、ウッディ感が比較的マスクされているか。余韻は少し土っぽさとタンニン。

 

2013年にファン投票があったようで、それによって選ばれたグレンモーレンジィの限定品。バーボンバレルで熟成後、マンサニージャシェリーのカスクで追加熟成されたものとのこと。2014年リリースのようですが、何故か正規で入ってきたようで、ホームバーに入荷されたので飲んでみました。マンサニージャシェリーは辛口で、確か地域呼称によるもののはずですので、シーズニングではない、払い出しされたカスクなんでしょうか。

飲んでみるとこれが結構美味しいです。アプリコットティーやプラム、オレンジババロアのような酸味を伴った果実のお菓子のような感じ、サブレのような塩ビスケットの味もします。塩気が特徴とのことでしたが、開けたてのせいか個人的にはビスケットの塩程度のニュアンスでした。

嫌味も少なく、綺麗にまとまって美味しいですが、今後どう転ぶかわからないなあという思いも…それでも、限定のオフィシャルモーレンジの中では結構好きなボトルでした。

ボウモア 1993-2001 for MAEDA 40%

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Bowmore The Islay Prestige

1993-2001 8 year old
Cask No. #500065, 500066, 500067
Specially bottled for MAEDA Co., Ltd
Alc: 40%

評価:S+
香りはパッションフルーツ、クァバ、パイナップルなどの南国フルーツ、種まで入れたグレープフルーツジュース、ボウモアらしいピート、少し磯っぽいニュアンス。
飲むと香り通りの南国フルーツ、少し塩素感やローストした貝殻、磯っぽさ、らしい穏やかなピート。

 

93ボウモアの先駆けとも言われる、通称「前田のボウモア」。2000年代初頭に主要地域のプライベートボトリングで4種類ほどリリースされたようですが、自分はこのボウモアとローズバンクしか知りません…。実際にリリースされたのかもちょっとわからないです。大阪を中心に展開していた、酒の楽市さんで販売されていたようです。

このボウモアは当時5000円ほどで売られていたようですが、経営していた㈱前田が倒産、現在はやまやの系列になっております。このときに1本1000円ほどで投げ売りされていたとか。今となっては信じられないですが、そんな時代が少し前まであったんだなあと改めて実感します。

93ボウモアはトロピカル感、南国フルーツなどで所謂当たり年の一つかと思いますが、このボウモアも8年という短熟にもかかわらず、そういう香味が出ています。

提供いただいたマスターによると、「もっと置いておくと南国感が激しくなりますよ」とのこと。口開けから2度ほど飲みましたが、暫く置いておくと南国フルーツ全開で、とても美味しいボトルでした。加水や経年変化のせいか、トゲトゲしさはあまりなく、分かりやすいフルーツ感とピーティや磯っぽさがあって、かなりキャッチーなボトルになっていると思います。レートは迷いますが、個人的な好みも含めてちょっと高めで。状態も抜群ですし、これくらいの評価でも良いんじゃないかと思います。

さて、このトロピカル感はどこから出ているのか?というのは愛好家の中でもときどき議論になるところだと思いますが、こういう短熟でも出ているところを考えると、熟成以前の工程、つまり発芽~発酵までの間に出てきたものと言われています。とある組織は酵母説を主張していたり、愛好家の中では麦芽由来を推していたりするわけですが、今後のリリースでもこういうボトルが出てくれるとうれしいですよね。

こんなボトルは中々地元で飲む機会がありませんので、惜しみもなく提供くださったマスターには大変感謝しております。ごちそうさまでした!

 

加水によってウイスキーの香味はなぜ変化するか?:Dilution of whisky – the molecular perspectiveから考える、ボトリングでの加水、飲む時の加水、瓶熟についての考察

今日のnatureに、こんな論文が投稿されていたようです。

natureではなくScientific Reports誌という雑誌に投稿されている論文のようです。ご指摘いただきありがとうございます。
上はアブストラクト(要約)の日本語訳、下はnatureの原文です。
今回は、この論文を少し読んでみました。

www.natureasia.com

www.nature.com

この分野の専門ではないので詳細を突っ込まれるとわからないのですが、自分がぱぱっと読んだところだと、グアイアコールという、焦げ感やバニラのニュアンスの元となる分子の挙動を、分子動力学(MD)シミュレーションで解析した結果のようです。MDシミュレーションは2013年のノーベル化学賞にも受賞されたのは有名かもしれません。グアイアコールは両親媒性分子という、アルコールのような水にも油にも溶けやすい分子ですが、この物質のアルコール度数による挙動を解析したようです。

 

水-エタノール-グアイアコールの混合溶液をシミュレーションしたのが下の図です(度数は27%)。小さい赤白のものが水分子、大きい分子はエタノールです。このように表面にエタノールが集まっているのがわかります。このように物質が不均一に広がっているのが特徴のようです。

図2

この縦軸をz軸として、エタノール濃度における分布をz軸で見たのが下のグラフです。赤が水分子、青がエタノール分子、黒がグアイアコールです。

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見てわかるように、0%~45%では両端、つまり液表にグアイアコールが集まっていますが、高濃度になるほどグアイアコールはz軸の中心、つまり溶液の中にグアイアコールが潜っていきます。このような不均一性が香味の変化をもたらすのではないか、といった事が書かれています(加水すると液表に香味の物質が来るというわけですね)。

その他、グアイアコールの周囲に水分子やエタノールがどのようにくっつきやすいか、電子密度の計算もされています(解説が面倒なので省略しますが、高校化学~大学初等の化学くらいしか知らない自分でもなんとなくの理解はできる内容でした)。

図6

また、最後の考察にも書かれているのですが、加水後も十分水分子がグアイアコールに触れていないので、上記の分布とはことなり、違う香味をもたらすのではないかとのことでした。

 

この論文を読んでそういえばなあ…と思うことが幾つかあります。

1.数滴の加水で香味が「開く」こと

これは論文にも言及されていますが、アルコール濃度が変わったことで香味成分の分布が変わったという解釈で良さそうな気がします。

 

2.瓶熟の変化

これは水分子やアルコール分子のクラスター形成といった影響が大きいのではないかと思います。この辺りはブルーバックスから出ているウイスキーの科学という本にも掲載されていると思いますが、サントリーやニッカが過去にしてきた研究は色々論文になっておりまして、熟成によってクラスター分子が増大していることが指摘されています。これによって「口当たりがまろやかになる」と言われているということですね。

以下、リンク先のPDFに色々と載っています。

http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/10725/1/13R2124.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/26/4/26_4_260/_pdf

http://www.kitasangyo.com/pdf/e-academy/tips-for-bfd/BFD_31.pdf

さて、これに関しては調査もあまりしていないのでわからないのですが、水-エタノール間でのクラスターの形成によって、今回の論文で出ているような不揮発成分の分布が変わるのではないか?というのが自分の仮説です。今回の実験では、水やエタノールの不均一性が一番上の図であった時の結果ですから、クラスター化されればまた話は変わってくるんじゃないかと思うわけです。この辺りは誰か調べて下さい、シミュレーションしてくださいとしか言いようがないですが…。

 

3.樽内~ボトリングまでの変化

これもよく言われているのですが、サンプルとボトリングでは香味が違うという話です。これも上のモデルで考えれば、樽から出してきたサンプルは上記の通り樽内で不均一になったところのどこかから引っ張ってきているため、撹拌されてボトリングした香味とは味わいは違うのでしょうね。このあたりは合点がいきます。

 

以上たらたらと、興味のない人にとっては意味不明な話が続きましたが、元々このブログを読んで下さっている人は少なからずウイスキーには興味がある方々だとは思いますし、上記の科学的知見は結構面白いんじゃないかなあと思います。引用の論文も面白そうなものが多そうなので、時間があるときにゆっくりと見てみたいですね。