ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマンが、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

グレンカダム 1995 22年 ウイスキーフープ向け

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GLENCADAM
1995 22year old
Bourbon Barrel
#3333
61.2%
O/T: 174

評価:S
香りはグァバや洋梨ジェラートメープルシロップ、焼き立てのパン、バニラビーンズ、白い花、ヒリヒリとするペッパーのニュアンス。
飲むと白い花やバニラエッセンス、柑橘のグミ、甘さの少ないカスタードクリーム、焦がしカラメル、カイエンペッパー、かなりしっかりとした麦のコク、余韻は引き締めるウッディネス。

ウイスキー・フープの2月帆布のボトル、グレンカダム1995です。
ダンガス・アンディー社が所有している蒸留所のひとつ、グレンカダム。
ダンガス・アンディー社はグレンカダムとトミントールを所有していますが、や○や系列の並行輸入が多少入ってきているだけかと思います。ホームページを見ると、バルクウイスキーの販売も行っているようです。新ラベルになりましたが、正規輸入がなかったこともあり、あまり話題になっていませんね。

私的な話ですが、ウイスキーにハマりかけたとき、アイラばかり飲んでいた時期があったのですが、アイラ以外に引き寄せてくれた安旨ボトルが、G&Mのカダムのコニチョでした。そういうわけもあって、また前評判の良さもあってなんとか複数本いただいたボトルです。

 

最初の口開けは素晴らしく良いバーボン樽のカスク、という印象でしたが、飲み勧めていくうちに、フローラルなニュアンスやクリーミーなニュアンス、まだ度数が高くヒリヒリした要素もあり、モルティで原酒と樽のバランスもよく、これぞ!といった美味しいバーボンカスクのボトルでした。典型的に美味しいバーボンカスクのボトルって、突き抜けたのを探すのは意外と難しいと自分は感じてしまうんですが、これはもう突き抜けていると言っていいボトルだと思いました。

 

オルトモア 1982-2017 35年 54.8% アデルフィ

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Aultmore 1982-2017
Adelphi 
1st fill Sherry Cask
54.8%

評価:S

香りはしっかりとした麦のコク、酸味控えめのプラムや桃のジャム、カカオパウダー、少しクランベリーオレンジピール、バニラスパイス。
飲むと香り通りのクランベリーやプラムのジャム、甘さ控えめのチョコレート、バニラ、シナモン、程よいウッディネスとスパイス。余韻はプラムジャム感が広がる。

アデルフィーからリリースされたオルトモア、日本には2018年2月に入荷となったボトルです。アードナムルッカンなどでも注目を浴びているアデルフィですが、年始に入り90ボウモア、2000ラフロイグなどと一緒に高額レンジで発売され、ひっそりと売り切れになっていったボトルです。輸入元おすすめ、テイスティングコメントにランシオといった誘惑のワードは散見されたのですが、まあ何も無ければスルーしてしまいそうなスペックです。

時々80年代~90年代初頭に濃厚シェリー系のオルトモアはあるようなのですが、個人的に聞いたことがあるのは90のオルトモア25年くらいで、結構な高額レンジでしたので最初はスルーしていました。

とある方面より美味しいという評判を聞き、近くのバーに情報提供したところ、なんと一本入荷していただいたので飲ませていただきました。

口あけは結構堅く、開いてくるまでには結構な時間がかかりそうで、多分まだまだ変化するボトルだと思います。それでもシェリーのニュアンスとともに、プラムや桃といったフルーツ感が上手く混じり、ほとんど嫌なニュアンスのないかなり美味しいオルトモアでした。今年日本に入荷したリリースの中で、自分が飲んだことのあるボトルではかなり上位、トップクラスに食い込んでくる美味しいボトルでした。少しクランベリーみたいなニュアンスもあり、今後の変化次第では更に化けそうです。自分も運良く抱えることが出来ましたので、ゆっくり変化を見ていきたいと思います。

マッカラン18年 1985 2000年台上旬リリース

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MACALLAN 18 year old 1985
Official
43% 750mL

評価:S

香りはレーズンウイッチ、ダークグレープの果汁、リッチなシェリー、カラメル、バニラ、少し腐葉土のようなアーシーさ。
飲むと香り通りの枝付きブドウ、アプリコット、バター、腐葉土、リッチでコクがあるが粘性はあまりなく、余韻はブドウのニュアンスが儚く消える。

マッカラン18年、1985ビンテージが多く使われているようですので、逆算して2000年代上旬のリリースかと思われます。
実はこのボトル、ホームバーにてブラインドで出されまして、そのときに書いたテイスティングコメントが上です。アーシーさを伴う加水のできの良いシェリカスク、おそらくシーズニングシェリーという印象で、近年で言えばフープ向けのグレンファークラス2008からスパイシーな感じを引いたような香味でした。

ドロナック、グレンファークラス、昔のマッカランあたりが候補に浮かびましたが、加水でこれだけまとめてきているボトルを考えると、マッカランやドロナックな印象。自分の中でグレンファークラスの加水は90年代流通であってもコシがなかったりバランスが悪かったりすることがある印象なので、ファークラスは除外して考えましたが、やはりドロナックでは加水でこのボトルに近いニュアンスを出すものを想起できず、まあマッカランなのかなと。まさかこれを出題されているとは思わず、80年代~90年代前半のボトラーズのマッカランなどかな?と答えましたが、正解はこちらだったようです。ブラインドは得意じゃないですが、ここまで答えられたら今の自分としては合格点なのかなと思っています。

さて、飲んでいるときにはかなり上質な「シーズニングシェリー」と思ってましたが、シーズニングシェリーとすればかなりいいカスクだと思います。現状はほとんどのシェリカスクは、現実はシーズニングシェリーによるシェリカスクのようなものを使用しているわけで、本物のシェリーが詰められていたソレラシステムの樽はほとんど払い出しされない、というのはウイスキー好きの皆さんならばご存知のことかと思いますが、なんとこの時期のマッカランは裏面に堂々とシェリカスクの作り方が書かれています。

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ヘレスでオーク樽を買い付け、シェリーを吟味して満たし、ボデガに2年熟成させて、空樽をスコットランドに運び熟成…これまさしくシーズニングシェリーの作り方ですよね。まあこれだけ大量に生産されていたので、シーズニングであることはそうだろうと思いますし、非難しているわけではないですが、堂々と書くのもどうかと…

しかし2年熟成させているならかなり期間は長いように感じます。下の記事ではファークラスは半年と書いていますし。シェリー樽に関しては様々な立場の方が様々なことを仰っていますが、ウイスキーラヴァーにとって無くてはならない存在であることは間違いないでしょう。個人的には近年のファークラスなどにも似たようなニュアンスを感じるのが印象的でした。現行マッカランはこの年代あたりと比べられて随分…と言われるようになり久しいと思います。蒸留所が建設されても樽次第でどうなるかわからないですが、この年代を漁るのも大変になってきましたし、クオリティが上がってきた近年リリースに期待するのもいいように思います。

 

whiskymag.jp

 

ハイランドパーク 1988 シグナトリー for ウイスキーフープ

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Highland Park
1988-2015 
27 year old
signatory vintage for THE WHISKY HOOP
50.7%
O/T 247

評価:S
香りは花蜜、ワックス、バニラ、ハニーシロップ、乾いた木材、ファンタオレンジ、桃、穏やかなピート。
飲むと香り通りの桃やオレンジのフルーツ、ホイップクリーム、オランジーナ、ハニーシロップ、バニラ、程よいオーク、ピート、ナッツ。


ウイスキーフープの初期のボトルであった、ハイランドパークです。ハイランドパークは2000年とこの1988ビンテージの両方がリリースされていますが、今となっては80年代のハイランドパークを見る機会は殆どないように思います。

花の蜜や蜂蜜のような香味やワックス感はまさしくハイランドパークらしく、フルーツ感や心地よいオーク感も感じられ、長期熟成の良さを存分に感じられる ボトルでした。 時間経過によって、以前よりもオレンジっぽいニュアンス、とくにオレンジジュースの香料のようなニュアンスがあり、程よいアクセントになっています。

初期のウイスキーフープのボトルも好きなボトルはたくさんありますが、特に好きなボトルの一つでした。個人的にはバースデーヴィンテージということもありまして、結構買わせていただきました。

実は、発売後数年経ったボトルはWhisky hoopのサイトで一般販売することが決まっておりまして、現在すでにこのハイパも購入できるようになりました。

http://www.whiskyhoop.com/

先月頒布のグレンカダムは会員内でも結構な争奪戦だったようで、すぐに売り切れてしまいましたが、他にも色々一般販売されるようになっています。気になるモルトは是非購入してみてはいかがでしょうか。

グレンバーギー 1963-2002 39年 シグナトリー for LMDW 58.0%

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Glenburgie Signatory Vintage for La Maison du Whisky #4750
Straight from the Cask
05.1963-08.2002 39 years old
CASKTYPE:Hogshead
O/T : 185
Alc : 58.0 % Vol. 500 ml
評価:S~S+

香りはプラム、アップルパイ、厚みのある麦感、重厚なナッツオイル、家具、バニラ、紅茶、マッチの燃えかす。
飲むと陶酔感のあるフルーツ感、アップルセイロンティー、シナモン、バニラ、タイム、クルミ、オイル、麦のしっかりとした厚みやコク。

先日秩父ウイスキー祭に行ってきたのですが、その週は運良く土日が使えましたので、金曜~日曜にかけて東京遠征に行ってきました。引っ越し、異動があり意外と忙しかったこともあり、実に半年ぶりの東京となりました。今までの頻度から考えると驚くほど長くなってしまいましたし、ブログの更新頻度が下がっているのもそうですが、転勤・異動って結構疲れるものなんですね。ようやく慣れてきたのかなと思いましたので、これから少しずつ行く頻度を増やせたら良いなと思っています。

さて、今回は東京で飲んだ60年台蒸留のメゾン向けのグレンバーギーです。日本には余り入ってこないシリーズですが、Straight from the Caskシリーズという500mLのボトルになっています。グレンバーギーは大好きな蒸留所の一つですが、60年台のシングルカスクは飲んだ記憶がほとんどなく、またマスターのおすすめということもあり、大変楽しみに飲んでみました。

飲んでみると、重厚なフルーツ感やオイリーなニュアンス、高級家具のような木の香味に加え、40年近くになるのにヘタっていないしっかりとした麦のニュアンスがあり、非常に美味でした。単純に原酒が今とは異なる良いものなんだろうなと、改めて思い知らされます。比較的プレーンな樽だったものと推測されますが、それでも40年弱の熟成でこのハイプルーフ、ボトリング後の経年変化も含め、重厚感と複雑さを兼ね備えた非常に素晴らしいボトルだと思いました。私は特に好きなタイプです。

貴重なボトルを惜しみもなく提供してくださるバーの方々には本当に感謝しなければならないですね。池袋のBar Nadurraさんで戴きました。フードやカクテルも充実しており、人と行くのも使いやすい、よく伺うバーの一つです。ご馳走様でした。

 

エクスカリバー 1972 メドゥサイド・ブレンディング 42.2%

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評価:A+

香りは早熟のプラム、ブラッドオレンジ、鉛筆の削りかす、バニラ、木工用ボンド、
飲むとプラム、オレンジ、バニラ、クルミの渋皮、ナッツ、グレーンらしいスムース感、熱帯の木。

モルトマンシリーズなどでお馴染みのメドゥサイド・ブレンディング社より、1972年の長熟ブレンデッドのリリースです。

エクスカリバーというとアーサー王の聖剣で有名ですが、自分の世代だとどうしてもファイナル・ファンタジーを思い出してしまいます。FF5ギルガメッシュがパチもんのエクスカリパーという剣で切りつけてくるも、ダメージが1しか喰らわなかったあのイベントです。笑

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これも最強のブレンデッド・ウイスキーではないような気がしますが、そのネーミングからはやはりブレンダーの意気込みは感じますよね。例によってサンプルをいただきましたので、拾えた範囲で掲載します。

トップからはフルーツの皮感(オフィシャルのテイスティングコメントでは巨峰とされていましたが、結構巨峰の皮感に酸味が混じっているようなニュアンスで、ここでは早熟のプラムとしました)に始まり、オールドシェリー感が味わえる一方、やはり過熟感は否めず、鉛筆の削りカスなどの木のニュアンスや、過熟さから来ていると思われるスパイシーさも結構感じました。それなりにグレーンのベタッとした甘みもあります。

グレーン感があまり得意ではなく、バランス感を重視する自分にとってはあまり評価自体は高くありませんが、一方でブレンデッドにすることでこの長熟が無理なく飲めるように昇華されていることや、現行リリースでこのオールドシェリー感が味わえる点では良いボトルだと思います。試すことは出来ないですが、ロックや水割りで飲むとオールドシェリーの良いニュアンスが拾いやすくなって良いかもしれませんし、カスクストレングスがきついという方にとっては、これくらいの伸びた感じがすきかもしれませんね。活躍の場はありそうなボトルですが、いかんせんそのような飲み方が大好きな方でこういうボトルに手を出してくださる方がどれほどいるのかはわかりません。価格とブランド力を考えると、酒屋的にもバー的にも売りにくいお酒なのかもしれませんが、活躍する場面はありそうに思いました。

 

クライヌリッシュ 1995 21年 57.9% エリクサー・ディスティラーズ レトロラベル 

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ELIXIR DISTILLERS Retro Label
Clynelish 1995 21 year old
57.9%

評価:A+~A++

香りはズッキーニやハニデューメロンのような瓜感、ラムネ、蜂蜜、ワクシー、白い花、生ハム。
飲むと粘性は強め、オイリー、ハチミツ、麦のコク、バニラ、瓜、生ハム、渋柿、ややワクシー、コーヒーミルクキャンディー、やや強めのウッディネス。

 

いつも通り久しぶりの投稿になってしまいました。ここ1週間は大雪に追われ、ウイスキーを味わう時間が中々取れませんでした。仕事柄車での移動も多いんですが、今回は影響が長引いていますね。早く落ち着いてほしいものです。

1週間ほど前に呑んだテイスティングノートですが、やっと時間が取れましたので、アップすることとします。

THE WHISKY EXCHANGEでお馴染みのスキンダー&ラジ・ジン兄弟が設立している会社、エリクサー・ディスティラーズのレトロラベルシリーズより、クライヌリッシュ1995、21年熟成です。

クライヌリッシュは過去には72や82などがありましたが、ココ最近95や97ビンテージ、最近では95ビンテージはほとんど見なくなりました。97も95も美味しいものが多いですが、個人的な傾向として、95の方がワクシーさや粘性が強いボトルが多く見られる印象があります。97も美味しいんですが、久々に95のリリースを見て、エリクサーからのリリースということもありサンプルを頂くことにしました。

印象としてはまだ硬めで、ズッキーニのような瓜の青臭さ、ラムネや蜂蜜などの甘みを感じましたが、少しだけ加水しながら飲み進めていくとワックスやオイルのニュアンスを感じることがありました。美味しいクライヌリッシュだと思います。お値段が少し上がっているのが残念ですが、開いたときの香味は価格以上のものになりそうと思える、ポテンシャルを感じるボトルでした。そういう点も込めて、少し評価も幅を持たせてみました。店で見かけたらまた飲んでみたいですね。