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ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマン(20代)が、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

秩父蒸留所に行ってきました その1

 先日、秩父蒸留所見学に行ってきました。秩父蒸留所といえば昨今お馴染みのイチローモルトで有名な蒸留所ですが、その規模の小ささなどから、一般公開はなされていない蒸留所です。今回、Bar Nadurra 松平さんのご厚意もあり、他のお客さんと一緒に見学にご一緒させて頂く機会を戴きましたので、その見学記を綴っていこうかと思っています。少々長くなりそうですが、お付き合いください。

Part0 秩父蒸留所見学まで

 Part0-1 秩父までの道中

 関東在住の方にはお馴染みかもしれませんが、秩父に向かうには、池袋駅より西武秩父線・通称レッドアローに乗って秩父に向かうのが通常です。地方在住の自分は秩父はおろか、西武鉄道に乗るのも初めての経験です。一行は11時に池袋に集合。レッドアローの指定席は予め購入いただいており、難なく乗車。新幹線もモバイルSuicaな自分にとって、関東で切符を使うのが久しぶりで何だがちょっと新鮮な気分でした。一行は指定席を囲み、酒盛りを開始(公共交通ですので程々に!)。秩父見学に行くというのに、Exclusive Maltsのバルメニャック1988が美味しく、ずっと飲んでいました。

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 写真に写っているゴールデンホース秩父も始めていただきましたが、羽生っぽさを十分に感じられ、これは美味しいウイスキーでした。過去ロットのDDにも通ずるものがあります。

malt.hateblo.jp

 西武秩父駅に到着後、一行はタクシーで蒸留所へ。だいたい料金は3600円程度でしょうか。当日は生憎雨の日でしたが、秩父蒸留所に到着です。入り口には樽とポットスチルが出迎えてくれます(ピントが合ってない)。

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Part0-2 ビジターセンター

 到着後、まずはビジターセンターに通されました。ビジターセンターでは過去にリリースされたオフィシャルボトルが多く展示されています。 

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今見ると懐かしさを感じるボトルも。

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サンプルボトルも並んでいます。

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ジョーカーボトルの絵。おそらくカツノ平二氏の原画でしょうか。

 Part1 蒸留施設内へ

 ビジターセンターに居た一行は、吉川氏の案内で蒸留施設内へ。

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入口から入ってすぐ、ウォッシュバックの木桶がたくさん並んでおり、圧倒されます。

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1-1 麦の粉砕 

まずは麦の粉砕の説明から。秩父蒸留所の場合、原料の二条大麦はモルトスター(精麦業者)からの買い付けを行っているとのこと。品種は単一で、モルトスターは次々とウイスキーに適した品種改良を行っているようです。今回の見学では、crispmalts社のモルトが使用されていました。フロアモルティングも試験的に行い始めるような話もあるようですが、現時点では多くの蒸留所と同じとのことでした。

 品種を混ぜたりすることは?という質問もあったのですが、「品種の切替時に少量混ざる可能性はあるが、ほぼ品種は単一」とのことです。

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 実際に食べることも出来ました。うん、ピーテッドはピーティーです。自然派シリアルみたいな、まんま麦な感じでした。

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 袋詰のモルトは石が入っているなどのことがあるため、篩分けをしながら取り除き、粉砕に入ります。粉砕されたモルトは、その後粗さによってハスク、グリッツ、フラワーと3酒類にわけられ、この比率が2:7:1になるように調整するとのこと。これはマッシュタン内で自然の層を作り、濾過の役割を果すようです。

 一袋25kgの麦袋で、一回の仕込みで400kgほど使用するとのことでした。

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 1-2 マッシュタン

次はマッシュタンの見学。

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マッシュタンでは精麦した麦と酵母を、お湯混ぜながら適切な温度で管理し、コーヒーのように落としていき、ワート(麦汁)を抽出します。

 抽出は全部で三回行われ、それぞれ一番搾り(ビールのそれと同じ由来のようです)、二番絞り、三番絞りとなります。三番絞りは薄くて発酵には使えないようですが、ポンプで汲み取り、次の日の一番搾りのお湯に再利用するそうです。一回の仕込みでは約2000L当たりの量が仕込まれ、ウォッシュバック(発酵槽)へと流されます。2000Lは、スコットランド最小規模のエドラダワーと同程度で、キルホーマンよりも少ないとのことした。

 用いられている酵母スコットランドから輸入されたディスティラリーイースト一種のようです。曰く、樽の熟成で出てくる秩父の個性を見るためにも、現時点では品種を統一しているとのことでした。ワインやビールとは異なり、発酵のあとに蒸留や熟成が関わってくるウイスキーだからこその違いを感じさせます。

  中はこのような感じです。見ての通り、蒸気が舞っています。

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完成したワートを冷却する熱交換器と思われます。

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途中、某氏がカメラレンズを網目から落としてしまうというアクシデントも有りましたが、無事回収。故障もなく、一行はウオッシュバックへと向かいます。

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1-3 ウオッシュバック

ウオッシュバック(発酵槽)では文字通り発酵を行います。秩父蒸留所では8基のウオッシュバックがありました。

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容量は3177Lと記載されていますが、ガスが発生することもあり、2000Lが入るようです。

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 目につくのは木製であること。こちらはミズナラ樽で作られており、世界でも大変珍しいもののようで、オーク材のウオッシュバックを作っているのは、秩父蒸留所の他には、新興蒸留所のアードナムルッカン蒸留所のみとのことでした(ボトラーズのアデルフィが所有、向こうはリムーザン産フレンチオーク材を使用しているようです*1

 一般にウオッシュバックは木製かステンレス製がメジャーですが、木製はメンテナンスが大変なようで、こちらも例外ではないとのことでした。ミズナラ発酵のメリットとしては、保温性の良さと、乳酸菌などによる、複雑な細菌叢が良く形成されるとの理由のようです。こちらで70-90時間ほどの発酵を行います。4日間程度の発酵なので、ここでミズナラの香味は付きにく、基本的には木製による複雑な常在菌の違いが、味を複雑なものにするとのことでした。

 実際にウオッシュバックの中を覗き、匂いを嗅ぐ事ができました。

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中の写真はありませんが、グツグツと泡を吹き、まるでベルジャンホワイトエールのような、バナナやパイナップルを彷彿とさせるトロピカルな香りが漂いました。

 なお、耐久年数に関しては全くの未知数とのこと。前例がないので難しいようで、もうしばらくは持ってくれればな…とお話しされていました。

長くなりましたので、当記事は一旦ここまでとします。