ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマンが、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

ブッシュミルズ21年 40% 2015年ロット

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評価:S

香りは甘く、トロピカルで華やか。ハニーシロップ、リンゴ、マロン菓子、ナッツ、過熟のプラム、パイナップル、ドライマンゴー。
飲むと口当たりは軽く、プルーン、ナッツ、パイナップル、パッションフルーツ、アップルジュースなどのトロピカルやフルーティーを感じ、軽くケミカル、麦汁のニュアンス。余韻は長く、嫌味のない軽いウッディネス。
 
アイリッシュウイスキーからブッシュミルズ21年、2015年リリースのものです。
アイリッシュは以前一度紹介したきりですが、自身の知識の整理も込めて、一度まとめておこうと思います。
 
まずは製法。シングルポットスチルウイスキーというのがアイリッシュ独特の製法であります。
伝統的なアイリッシュはこの作り方だったようですが、現在はミドルトン(レッドブレスト)のみです。
簡単にスライドにまとめておきましたので、こちらを参照して下さい。

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ブッシュミルズ北アイルランドはアントリウム州にありますが、御存知の通り北アイルランドは英連邦に所属しており、アイルランド国ではなく、実際にイングランド王より蒸留免許を与えられていた歴史があるようです。1608とラベルにはしっかり記載されていますが、ブッシュミルズ蒸溜所という名前だったかの文献はないそうで、実際にブッシュミルズという名称で創立されたのは1784年、ただそれ以前より密造はされており、現在に至っているようです。
基本的にはシングルモルトウイスキーを製造していますが、3回蒸留という独特の製法で、仕込み水はSt.コロンバ川のダムより引いてきています。
1972年に、当時少なくなったアイルランド蒸溜所を束ねていたアイリッシュディスティラリーズ・グループ(IDG)の傘下に入りますが、1988年にはペルノ・リカールがIDGを買収、2005年にはディアジオに売却され、現在に至っています。
蒸留は3回蒸留で、独特の軽さはここから来ているのかと思います。
 
さて、このブッシュミルズですが、この2015年ロットの21年が凄く美味しいととあるバーでお伺いし、なんとか必死で手に入れた1本でした。結構な量が出ているらしいんですが、日本への正規品の流通はかなり少ないようで、卸先も異なり中々入手の難しい一本でしたが、運良く購入することが出来ました(うちの地方だけかもしれません)。
製法としては、19年熟成のシェリー樽熟成、バーボン樽熟成をバッティングし、2年間マディラカスクで熟成したもののようです。
 
開けたてはそこまでではなかったんですが、徐々にトロピカルやプラムやアップルのようなフルーティーさが出てきており、ものすごくわかりやすい美味しさです。マディラ由来と思われる、シェリーっぽいフルーツ感と、トロピカル感が嫌味なく両立しているのが素晴らしく、アイリッシュらしい原酒の軽さとフルーティーさを備えた、良いボトルだと思います。あとは価格が少し安ければ文句ないんですが…
なお、2015ボトルと2014ボトル、2013年、年数表記なしなどが出回ってますが、情報として聞いているのは、こちらの2015年だけがトロピカルのようです。購入検討される方はご注意下さい。

トマーティン 1993-2010 17年 BBR 復刻ラベル


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評価A+(写真掲載忘れてました…すみません)

香りは赤い果実やウッディ。桃の皮、砂糖漬けのアップル、プルーン、バニラ、古い家具、木イチゴ、ナッツ。
飲むとリッチでフルーティー。蜂蜜、熟れたアップル、キウイフルーツ、バニラ、古めの家具、濃いめに淹れた紅茶、ヘーゼルナッツ。余韻は長くスパイシー。

 

BBRの復刻版ラベルのトマーティン1993-2010 17年熟成です。一年ほど前に近くの酒屋で見かけて買った一本。トマーティンも最近この年代のボトルが出なくなりましたが、中々出来の良いボトルが多い印象です。

全体的にトマーティンのフルーティーさと赤い果実感、紅茶のような程良いタンニンが合わさったニュアンスで、往年の76とまではいきませんが、トマーティンのこのようなシェリーとフルーティーが融合したタイプのは好みですね。残り少なくなってきましたが、大事にのみたいと思います。

サマローリ ’S PEATY 1995 ブレンデッドモルト for Whisky Live 2014

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評価:A+
 
香りはヘザー、メープルシロップ掛けのパン、バニラ、少しのウッディネス、ピーティ。
飲むとソルティ、ヘザーハニー、クラッシュナッツ、ウエハース、僅かにグラッシー、アニス。程よいピートに引き締めるウッディネス。
 
サマローリより、2014年のWhiskyライブ向けにリリースされたブレンデッドモルトです。中身はラフロイグとハイランドパークのようです。
Peatyと銘打ってはいますが、ピート感だけではない麦芽やハニー感、塩っぽさやナッツなど、ピートだけに留まらないバランスの良さがあります。心なしかハイランドパーク感もありますし、ラフロイグ感も見られます。十分美味しいボトルでした。
 
今更このブログで取り上げるものでもないのでしょうが、先日サマローリ氏の訃報が届きました。このボトルはサマローリ氏が関わっているボトルではないですし、最近の飲み手で地方在住で、サマローリの伝説のボトルを飲む機会もないまま、こんな日を迎えてしまいました。
それでも、ホームバーのマスターはサマローリの伝説のボトルを過去に飲んでいて、サマローリが心底好きで、あんまりモルトを飲んでいないときからも「サマローリはすごい!」と現行のサマローリを飲みながら、それでも美味しさを共有させていただいたものです。
 
そんなサマローリ好きに育てられていたこともあり、なんというかテレビのヒーローのような、ふんわりした存在でしたが、そうやってモルトが好きになった人々もたくさんいるでしょうし、それで好きになった人に育てられた、そんな繋がりを感じます。
 
そんな状況って何処かで聞いたことがあるな、とふと思いついたのが、斉藤和義の「僕の見たビートルズはTVの中」。
 
昨日はこれを流しながら、サマローリ氏に献杯とさせていただきました。
 

アードベッグ スーパーノヴァ SN2010

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評価:A+

香りは、注いだ先から広がる強烈なピート、乾燥させた麦、焦げ目が付くほどに焼いた青魚、オレンジオイル、レモン。
飲むと最初はまろやかな口当たりで、魚介のだし、レモン、シトラスの後に強烈なピート感が襲う。余韻は非常に長く、スパイシー。
 
アードベッグの2010年限定品である、スーパーノヴァSN2010です。
1815年とラフロイグと同じ時期に創業したアードベッグですが、ラフロイグとは異なり、現在に至るまでは至難の道だったようです。
創業者はジョン・マクドーカルで、100年ほどはマクドーカルによる経営がされていましたが、20世紀からはオーナーの変化があり、生産が不定期になっていきました。
1979年にはフロアモルティングの廃止、1980(83年説もあります)-1989年までは生産停止、その後は年に2-3ヶ月、ラフロイグの職人が細々と蒸留していたようです。
1997年にはアライド・ディスティラリーズ社からグレンモーレンジ社に買収、その後生産量は増大し、2004年からはMHD社による運営を受けています。
ウオッシュバックはオレゴン松6基、ポットスチルが1対ですが、再留器にピュアリファイアー(精留器)が取り付けられており、それがフルーティーさに寄与しているとも言われます。
 
さて、このアードベッグですが、スーパーノヴァというヘビーピートなモルトを最初に出したのが2009年、それが好評で2010年に第2弾として発売されたボトルでした。
当時は結構な数字だった100ppm!という圧倒的ヘビーピートで、このボトルも人気でしたね。
その後、コミッティー向けに2014,2015と細々と販売されている、人気のシリーズです。
 
家にあるスーパーノヴァは2010しかないのですが、開栓から3年近く経過してしまってることもありますが、まだまだ元気なモルトです。
開けたてはもうあんまり覚えていませんが、今飲むとヘビーピートはそのままですが、オレンジやレモン、シトラスといった柑橘感がメインです。
2009の開けたてはシェリー感が程よく感じられ、結構好きなボトルなんですが、これはこれでアードベッグらしく、今でも美味しく飲めます。開けたての2010なんて暫く飲む機会ないでしょうし、どうだったかあまり思い出せないですが、こうなった現在も美味しいモルトです。
ただ注いだ先から部屋中にピートが溢れ出るのは考えものですね…

グレンアギー 1980 30年 50% ダンベーガン

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引用:【楽天市場】◆ダンベーガングレンアギー30年 [1980] シェリーバット:信濃屋

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評価:A++

香りはウッディ&フローラルで、生木、白っぽい花、バニラ、ハニーシロップ、アプリコット、熟したアップル、オレンジ、ハニデューメロン、少しナッティ。
飲むと非常にフルーティーで、飲みごたえのあるフルーツタルトのよう;バニラ、シトラス、オレンジ、パイナップルや洋梨、メロンやアップル、ココアパウダー、マカダミアナッツ、わずかにスパイスやグラッシー。余韻は長く、バニラや程よいウッディネスが広がる。
 
イアン・マクロードのフラグシップシリーズ、ダン・ベーガンより2011年ころにリリースされた、グレンアギーの1980年蒸留、30年熟成です。
グレンアギーは東ハイランド、アバディーンの北東にあるピーターヘッドという街の近くにあった閉鎖蒸留所で、1875年創立、暫くはビールブルワリーとして利用されていたり、操業停止が幾度と続いたりと、平坦な道ではなかったようです。
1970年にロングジョン・インターナショナルが買収しましたが、1983年に操業停止、北海油田のプラントに売却され、現在蒸留設備はなくなっております。カラ松のウオッシュバックにポットスチルが1対と、小さな蒸留所だったようです。
 
さて、このアギーですが、飲んでみるとウッディーさやフローラル、フルーティーさが十分に開いていて、かなり美味しいアギーでした。バットということでシェリー感を期待していましたが、少しチョコやナッツっぽさがあった程度で、基本的にはかなりフルーティーなモルトでした。上のリンクの信濃屋さんのページに有るテイスティングコメントとはかなり違うものになってますので、かなり開いてきた結果なのかもしれません。
 余韻に少しウッディーさが広がってきて、ちょっとバランスが悪いなとも思いましたが、これも経年変化によるものかと思います。ボトルを提供くださったIさんがわざわざ開けてくれたボトルですが、まさに今が飲みどきなボトルだと思いました。ありがとうございました!

秩父ウイスキー祭に行ってきました。

2月19日は秩父ウイスキー祭でした。

総勢3200名ほどの来場者だったようで、実際会場もすごい熱気でした。

個人的な行動としては、ウイスキー祭よりもその前後に飲んだウイスキーの量が多くて色々印象に残ってしまいましたが、それは追々記すとして…まずは当日の様子と気になったものを幾つかピックアップしていこうと思います。

先月名古屋も行ったことですし、連日飲んでいてフラフラだったこともあり、そこまでじっくりと回っていませんがご了承下さい。

また、名古屋以上にブースが混雑しており、写真撮る余裕がないところもありましたので、そこもご勘弁下さい。

今回、仕事もありまして秩父は昼頃から参加しました。あたらなさそうな祭ボトルのくじ引きを済ませ、当然当たらず、そのまま試飲会場へ。

名古屋以来のブラックアイルマンさんを横目に、マッシュタンさんのブースへ。

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クライゲラキを頂きましたが、上質なバーボン系で、オレンジやハニーシロップなどの香味も感じられ、良いボトルでした。多分もっと開いてくると複雑さが増すのかな、と思いますし、どこかでじっくり飲んでみたいボトルです。

こちらのブースでは、ウイスキーファインドという台湾の振興ボトラーズのボトルも何本か試飲でき、ブナハーブンを戴きました。

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87ビンテージのブナがまだ残っていたことに驚きですが、どちらかと言うと上質なシェリー系のブナハーブンで、ブナらしいエグみとかはそこまで感じないきれいなボトルでした。

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しっかしラベルが格好いいですね。

取扱はブラックアイルマンでお馴染みのキムラさんとのことです。

 

お次はハイランダーインさん。

クライゲラヒと中野坂上の東京に2店舗を構える同店ですが、そこでは気になっていたこのカリラとベンリネスを頂きました。

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このカリラ、82年蒸留ですがらしいフレーバーで、ピート感と塩素っぽいニュアンスが共存しています。美味しく戴けました。

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ベンリネスらしい華やかなボトルで美味しかったです。

日本には流通するんでしょうかね?

 

続いてエイコーンさんのブース。

前日にも池袋のウイスキープラスに行って2本くらい買ってしまいましたが、良いボトルセレクションするのは流石ですよね。

マッカランを戴きました。1876レプリカは約5年前のリリースかと思います。

オールドシェリー感があって美味しいボトルでした。これは良いマッカラン

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また、写真のっけてないですが、新製品2つもかなりできの良いボトルでした。

ミルトンダフはミルトンダフらしい?スペイサイドの素朴な麦感、ドイツパンのような麦芽のニュアンス。麦の甘みもあってらしいボトル。とにかくムギムキ系。こっからフルーツ感も出てくるかもしれませんし、ムギムキ系は好きなので好みでした。

 

グレングラントはメモしそびれてますが、グラントらしい良いボトルだった記憶があります。

 

ePowerさんからスコッチユニバース。

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こちら知り合いにプレゼントしたのに飲んでなかったので飲んでみたかったものでした。NAですがカスクで飲みごたえありますし、そんなに嫌味のあるものでもなかったです。普段のみでこの価格ならかなり良心的なボトルじゃないでしょうか。

 

三洋物産さんからアンノック22年。

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前々から気になっていたんですが、アンノックらしい軽やかで華やかなシェリーでした。欲を言えばカスクなら凄く飲みごたえあったんじゃないかと思いますが、嫌味なくバッティングで仕上げているのはさすがオフィシャルです。

 

マルスさんからは津貫エイジング。確かに洋梨などのエステリー感あってよくできてました。マルスモルテージの3+25を思わせる香味もありましたし、津貫熟成が楽しみです。

信濃屋さんは他所でも色々報告あると思いますので詳しくは割愛しますが、チェックメイトアイリッシュは非常にアイリッシュらしくいい感じのボトルでしたし、ファークラスも二本ともファークラスの上質な、性格の違う2樽で好みでした。個人的には2005が好みでしたが、どちらも素晴らしいカスクだと思います。最近ファークラス良い物出過ぎててちょっと麻痺してますね…

あとは厚岸蒸溜所のニューメイク。あんなにスイスイ飲めるニューメイクは始めてでした。今後どんなウイスキーが出来るのか今から気になっています。

その他、JISさんもいろんなボトルを無料試飲できたりと、楽しいボトル多かったですねー。

 

個人的にマストバイと思ったボトルは、ウイスク・イーさんのボトルでした。

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セレブレーション・オブ・ザ・カスクの1991オーヘントッシャン

嫌味のないカカオマス、スパニッシュですがギリギリの熟成感で、樽の嫌味が出ないレベルで纏まっています。

オーヘンらしいかというとちょっと疑問ですが、オーヘンのシェリーやトマーティンのシェリーなどに時々ある、ダージリンティーのような紅茶のニュアンスも垣間見えます。とりあえず1本頼みましたが、まだ買うかもしれません。そんなボトルでした。

祭の前後も結構楽しめたので、祭のレポは名古屋程ではないですが、本当いいイベントでした。

当日券頒布なしの判断は正解だったと思います。何なら今でも多いくらいですし、会場のキャパ的に限界だと思いますが、こういう形で一つの街が盛り上がっているのは、多少大げさな言い方ですが、一つの文化が作られている過程を見ているような気がしますし、街全体での盛り上がりっていうのは良いものでした。

後日、前後に飲んたモルトをちょっとずつ上げていこうと思います。なんせ大量に飲んだので体がまだ回復していません…

オーバン 1978 20年 ダグラスレイン OLD MALT CASK

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評価:A++
香りは芳醇でエステリー。リンゴやアプリコットジャム、素朴な麦の甘い香り、若干のミルキー。

飲むとマスカットキャンディー、アプリコット、アップル、オレンジ、焦がした麦のコク、ほんのわずかのグラッシーなニュアンス。

 

ダグラスレインOMCより、1978蒸留のオーバンです。まだオールド&レアが発売される前のボトルになります。

オーバンは西ハイランド地方の沿岸にある蒸留所で、現在はディアジオが所有しています。オフィシャルもそうですが、ボトラーズはめったにリリースされないかと思います。

オーバンといえばオーキーさやちょっと塩っぽいニュアンスなんかがハウススタイルとも言われてますが、これに関して言えばエステリーで甘い香りが支配的でした。繊細で一体感のあるニュアンスで、おそらく経年変化によるものでしょう。あんまりオーバンを飲んだ経験がありませんが、とても美味しいモルトでした。