ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマンが、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

三郎丸蒸留所を見学してきました。(加筆修正あり)

【7/8 修正 リリーフバルブの項目を加筆修正いたしました。】

先日、静岡蒸留所を見学した後、更に蒸留所見学に向かいました。

その1つが、富山県砺波市にある三郎丸蒸留所です。

三郎丸蒸留所は、GRNホールディングスの一つである若鶴酒造が運営している蒸留所で、以前こちらでも紹介しましたが、クラウドファインディングを達成し、改築工事や新しい機械が入り、これより新たなウイスキー造りの一歩を踏み出そうとしています。6月のとある日に一般公開前ではありますが、ご厚意で伺うことができました。

尚、一般公開は7月13日からと伺っております。

当時メモ帳を忘れたのでウル覚えですが簡単にレポートを書き上げていきます。

readyfor.jp

入口がキレイになっています。
富山のウイスキー製造・販売を担うお二方の背中からも、少し旅の疲れが見えると思います。

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ポットスチルが銅製に変わってました!
今まで通り、暫くは1基で蒸留するようです。

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スコットランドのものに分類すればストレートネックで、これは焼酎でいうKI式という蒸留器なのだそうです。

今回変わったことは、ネックを銅製にしたことと、薄くなりやすいスワンネック部を独立して取り替えることが出来るようにしたこと、減圧装置安全弁の設置*1スプリンクラーの設置*2です。現在のポットスチルは今までと味を変えないようにと同型のものを作成されたようですが、今後再留器の設計などは研究中だそうです。

焼酎蒸留設備|日本化学機械製造株式会社

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コンデンサーはシェル&チューブ、ワームタブの2つ使われている珍しい作りです。

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グリストのセパレートをされています。教科書的には2:7:1ですが、マッシュタンの形状もあり、3:6:1で行うようです。きちんと濾過が出来るだけの層を形成してくれるくらいにはグリストが必要なようで。

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それにしてもきれいです。

クリスプ社のヘビリーピーテッド麦芽1トンをミルにかけています*3
ミルはアランラドック社のAR2000。秩父蒸留所や厚岸蒸留所と同じものです。
個体差なのか気候なのか、各蒸留所でミルの数値が異なるようです。面白いですね。

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2階から見学出来る導線が作られていました。

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訪問時はまだ見学のパネルなどがない状態です。

現在、パネルなどの設置も完了したとのこと。

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改築されていますが、流石昔からの建物で、重々しい歴史を感じます。
60年以上ウイスキーを作り続けてきた蒸留所ならでは、といったところでしょうか。

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このように上から見下ろすことが出来ます。

見学時はまだウイスキーの蒸留はされていませんでした。

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今回の改修にあたり、効率的なウイスキー蒸留のための導線も見直したとのことです。

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糖化タンクを上から覗いています。

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熱交換器です。

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こちらは新調されたようですね。

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上から見たホーロー型のウォッシュバックです。
今まで散々書いてますが、三郎丸蒸留所ではエール酵母+ディスティラリー酵母の混合で発酵させるようです。
このあたりも実際に稼働されたところを見てみたいですね。

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昨年仕込んだ樽です。基本的にはバレルですが、他にもシェリカスクなどのカスクを使用していく予定と伺っております。

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三郎丸蒸留所のある砺波市は、人口5万弱の都市ですが、丁度金沢市富山市の中ほどにあり、訪れ易い場所です。北陸に一度来てみるとわかりますが、本当に雲の多い日照時間の短い都市です。その程度は太平洋側出身の人が北陸に住むと、その日照時間の短さにホームシックになるといった笑い話を聞いたことがあるくらいですが、ウイスキーにとっては非常に良い熟成環境じゃないかとも思ってしまいます。

新しい一歩を踏み出した三郎丸蒸留所、稲垣さんをはじめとする皆さんの熱意が新しい原酒を生み出していきます。今後が楽しみな蒸留所です。また必ずお伺いします。

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*1:温度低下時に内部が陰圧となったときに圧を逃がすリリーフバルブと呼ばれるもののようです。安全弁のようなものとのことでした。

*2:ポットスチルが2基ない状態では、前回蒸留時の香味が混合されてしまうという難点があります。その為、三郎丸蒸留所では、スプリンクラーをつけて洗浄できるように設計し、雑味が入らないようにしたようです。

*3:フェノール値は50ppmとのことです。