ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマンが、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

エドラダワー 2003-2016 13年 ポートカスク・マチュアード 55.6%

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EDRADOUR 2003-2016 13year old
CASK: PORT CASK MATURED
Alc: 55.6%
CASK NO:281, O/T: 308bts.

評価:A+

香りはトフィー、ブラットオレンジ、アプリコット、サワクリーム、少し深煎りしたコーヒービーンズ。
飲むとアプリコット、バタースコッチ、コーヒークリーム、チョココロネ、しっかりめの麦のコク、心地良いタンニン。


エドラダワーはハイランド、ピトロッホリー地区の蒸留所にあり、1825年創業。

1800Lの蒸留器という、スコットランドでは最小であった*1ことで知られ、生産量は年間約10万リットル。これは日本で言うと秩父蒸留所に該当する量になります。

2002年には4大ボトラーズの一つ、シグナトリーが同蒸留所を買収し、元ラフロイグ蒸留所のイアン・ヘンダーソン氏をマネージャーに抜擢しています。どうやら1998年にはブレンド用に回していたモルトシングルモルトに回すなどのことをしていたようなので、おそらく98年ころからシグナトリーの介入は始まっていたのでしょう。

 

元々エドラダワーといえばクリーミーな味わいに、石鹸のような独特な香味:パフュームが見られるのが特徴的でしたが、2014年ころからは、日本のモルト界隈で脱パフュームの噂がちらほら出始め、再評価されつつある印象です。どうやら2000年前後より脱パフュームという話が通説で、シグナトリーが蒸留所の掃除をしたためにパフュームがなくなったと言われています。実際には98年ころからシグナトリーが介入していたようですので、説が正しければ98-99年蒸留あたりより脱パフュームがみられるはずです(実際、99年イビスコシェリーは脱パフュームしていたのを確認しています)。

そんなエドラダワーですが、現在エドラダワー第二蒸留所を建設中とのこと。流石だと思うのは、同型のポットスチルを複数作り、生産量を7倍にするとのこと。ユーロ高やポンド安、勿論昨今のウイスキーブームと相まって、相当な需要があるのでしょう。シグナトリーも良リリースが多くなってきましたし、様々な方々の努力のおかげだと思うのですが、for Japanのリリースも多くなってきたように思います。今後も楽しみな蒸留所です。

さて、このボトルはスコットランドに買い付けに行ったバーのマスターが、現地で入手したボトルのようです。2003年ビンテージは、シグナトリーのアンドリュー・サイミントンが指導して蒸留された初めての年のモルトですし、エドラダワーでも特別なビンテージでしょう。香味からは果実香や、エドラダワーに感じることの多いサワークリーム、コーヒービーンズのような豆感もありました。飲みごたえがあり、エドラダワーらしい美味しいウイスキーだと思います。

*1:現在は条件付きでこれよりも小さなものが認められてますが、何れにせよその境界を作っている蒸留器であることは間違いありません。