ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマン(20代)が、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

秩父蒸留所を見学してきました。見学記④

前回の続きです。

malt.hateblo.jp

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5.熟成

一行は第一貯蔵庫へ。

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現在秩父蒸留所には別敷地に第2-4貯蔵庫もあり、第5貯蔵庫が建設中とのことです。

この熟成庫で原酒は長い熟成に入ります。こちらではスコッチと同じく、最低でも3年は熟成されるとのことです。

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熟成庫は暗く、あまりいい写真が撮れないのですが…

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熟成庫の樽の積み上げとしては、こちらは昔ながらのダンネージ式で行っています。土の上に写真のように積み上げて熟成していくものです。同じ大きさの樽では、湿潤で温度差が少ないほど熟成期間は長くなりますので、地面に近い下の方ほど熱交換がなされ、湿潤されやすいです。他の熟成方式としては、白州にあるラック式などもあり、こちらは管理自体は楽なのですが、秩父のような小さな敷地では、樽の大きさを気にせず置け、ダンネージ式の良いところであると仰っていました。

現在秩父蒸留所では5000樽程度が熟成されており、その半分がバーボンバレルとのことです。バーボンバレルも様々なところから回されており、ヘブンヒル、メーカーズマーク、ジャックダニエル…などといった主要銘柄が並びます。同じバーボンバレルでも、ヘブンヒルならバニラ、ジャックダニエルならリンゴといったように味が変わって行くようです。

また、色々な樽を試しているとのことで、シェリーカスクは勿論、ワインカスク、ラムカスクテキーラカスク、最近ではIPAカスクなどもありますね。ワインカスクは国内が多く、またIPAカスクも品質面から国内の樽を使っているとのことでした。今回は見学できませんでしたが、クーパレッジもやっていますので、自社でミズナラ樽などでも熟成が出来る様になっていますし、ちびダルというクォーターカスクが制作出来るのも特徴です。

秩父の夏は35-38℃まで暑くなりますが、その盆地地形のため、冬はマイナス10℃近くまで下がるといいます。その寒暖差が熟成に適した環境とされますし、この寒暖差のためにエンジェルズ・シェアは3-5%になるとのことです。

ブレンダーの仕事についても語られていましたが、勿論良い樽や良いウイスキーをブレンドするということも大事だが、それ以上に樽の中身の品質を管理することも大事と仰っていました。5000樽もの樽ですが、1年に1回は中身の品質をチェックするとのことで、単純計算で1年に5000種類はチェックされていることになりますね。圧倒的な量です。

こちらの写真*1に写っている大きな樽はマリッジ用*2で、卵型のものはフレンチオーク産のワインカスク(WWR)用(2000L)、左手前のものはホワイトラベル(イチローモルト&グレーンブレンデッド)用(10000L) 、また一番奥にあるのがダブルディスティラリーズ用のアメリカンホワイトオーク樽(10000L)*3とのことでした。

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 下は去年撮影時のもの。シャッタースピードが遅くなるのでぶれます…

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BARBADOSの文字が見えます。ラムカスクと思われます。

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JACK DANIELの文字。

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こちらはヘブンヒルですね。

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FINOカスク

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#3826。秩父蒸留所の自社製樽第一号です。

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6.試飲

 見学を終えた一行は、ビジターセンターに戻り、試飲をさせていただきました。

最近のオフィシャルボトル、サンプルボトルなどを戴きました。

サンプルはオロロソ・シェリーホグスヘッド、ブレンデッド状態で熟成させてているカスクです。

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ニューポットも戴きました。

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さて試飲のときには肥土社長も来られ、吉川アンバサダー、肥土社長に色々質問させていただきました。

①クラフト・ディスティラリー秩父を参考にした、というところはあるでしょうか?ウルフバーンが結構似ているという噂を聞いていますが、何か知るところはあるでしょうか?

-知る限りそのような蒸留所は聞いていないとのことでした。ウルフバーンに関しては、少なくとも見学に来たことはなく、フォーサイスの設計の可能性があるとのこと。秩父蒸留所では、フォーサイスの蒸留器は導入したが、蒸留所の設計などはしていないとのこと*4

②2010年頃から原酒がフルーティーに振れたような気がする(気のせいかもしれないが)。製造工程などの変化や変わったことをされた、といった事実があれば教えて下さい。

-特にその頃から変わった、ということはないとのこと。製造工程は試行錯誤の部分が多く、製造工程が安定し始めたのはここ2-3年と仰っていましたので、これからもキャラクターの異なるボトルが色々と出てきそうです。

IPAカスクが最近立て続けに出ていますが、その経緯は。

-もともとビールとのコラボの話は色々と貰っていたようです。2014年かその前からされていたようですが、グレンフィディックIPAフィニッシュを出したときには「うちが先だったのに!」という思いもあったとかなかったとか。現在は国内のブルワリーとのやり取りが多く、単一のやり取りをしているわけではないが、志賀高原ビール(玉村本店)とのやり取りが多いとのことでした。

④レギュラーラインナップにDD、MWR、WWRがあるが、WWRを作ったきっかけは?
DDやMWRはレギュラーやリリースするような経緯がなんとなくわかるが、敢えてワインカスクを使った理由などがあれば教えて下さい*5

-こちらは社長から伺いました。元々様々なカスクで熟成を試している蒸留所であることと、あまり良いカスクが手に入らない時期があり、またワインカスクが大量に入った時期があったとのこと。そのときに熟成させたカスクが良い熟成だったので、そこからリリースするきっかけに至ったとのことでした。特定の銘柄のワインカスクにこだわってはおらず、いろんなもので熟成を試しているとのことでした。

 

 その後も色々とお話をさせていただきました。非常にアットホームで、ウイスキーに対する惜しみない愛情を注いでいるスタッフの方々。運良く2回目の見学となりますが、色んな蒸留所を回ってもやはり素晴らしい見学をさせてくれる蒸留所だと思いますし、その熱意で自分が動かされるところもあると感じました(実際見学レポートを書くモチベーションが保てるのも、スタッフの方々の熱意を見たからというところが大きいと思います)。秩父蒸留所の皆様、有難うございました。この場を借りて御礼申し上げるとともに、かなり冗長な文章にお付き合い頂いた読者の皆様、有難うございました。このような熱意溢れる方々で日本のウイスキーが支えられていることが、少しでも伝われば幸いです。

*1:モルトヤマの店主、下野さんからお借りしました。この度この見学の企画をしてくださいました。この場を借りて御礼申し上げます。

*2:ブレンデッドしたウイスキーは、ブレンドしてすぐに出荷せずに、マリッジするための大きな樽で数ヶ月~半年ほど寝かせた方が味が馴染んで美味しくなるようです。前回見学時の記憶ですが、確か秩父蒸留所では半年ほどマリッジさせているはずです。これは秩父に限ったことではなく、例えばウィリアムグラント&サンズ社のシングルモルトは出荷前に短期間マリーイング・タンという巨大な桶にて味を落ち着かせるという工程を行います。バルヴェニーのタンシリーズなどは、その中でも特別に美味しくなるタンを使っているようです。

*3:見学時に「一昨日届いた」と言っていました。

*4:すべてスコットランドの業者に任せてしまうことは、何かあったときにメンテナンスが遅れたり不能だったりするリスクがあり、その点でもある程度独自で動いたり、日本の業者で賄えるところは賄えた方が運営上良いという話もされていました。納得です。その辺りは厚岸蒸留所が完全にフォーサイスプロデュースですので、是非機会があれば苦労話でも聞いてみたいところです。

*5:秩父から全く関係ないところで聞いた情報では、一般的にワイン樽は手に入りやすいものなんだそうです。その点とも関係があるのか聞いてみたかった次第です。