ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマンが、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

グレンファークラス1996-2006 10年 シングルカスク OB


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評価 A+

香り レーズン、プラム、樹液、茶葉、少しサルファリー、ミーティー、クローヴなどのスパイス。スパニッシュオーク感が強いが、奥に紹興酒のような独特の芳香もある。

飲むとプルーン、スパニッシュオークのシェリー、少しサルファリー、余韻は短く、しっかりとしたタンニン。

 

グレンファークラスのオフィシャル1996の10年カスクです。当時はカスクで10年程度のボトルをリリースしていることがあったようで、これもその一つだと思います。

このボトル、開栓から二年ほど経過していますが、開栓直後はサルファがひどく、正直飲めたもんじゃありませんでした。基本的にはスパニッシュオークでしっかりと熟成したファークラスという出来映えなんですが、サルファリーのため放置しておいてました。二年の経過でかなりマイルドに変化してくれました。

 

個人でボトルを持つメリットとしては、やはり経年変化による味の変化を追えることだと思います。あまりウイスキーに馴染みのない方はピンとこないとは思いますが、ウイスキーはその特性上、何年とっておいても飲めます(古いもので100年前のウイスキーを戴いたことはあります。)。それ故にゆっくりと飲み進めていくことができますが、当然経年変化で味が変わっていきます。面白い所なのは、これはフレッシュな開栓直後が良いというわけではなく、時間経過によりアルコール感が落ちて香りがわかりやすくなったり、酸化による芳香物質の変化で、単純にいえば香りや味が変わっていきます。ボトルをたくさん持つと言うことは、そのボトルの経年変化を見ることが出来、一つのモルトの醍醐味と思います。

シェリー樽のサルファリー感(硫黄感)は、多くの場合忌み嫌われる香味の一つですが、経年変化により芳香が変化し、サルファリーが抜けることがあります。良く経験するのは肉っぽい香味です(おそらく、硫黄が酸化することによって他の分子と結合し、タンパク質と似たような化合物になるのではないかと勝手に考えています。硫黄元素自体は有機化合物ではタンパク質特有のものですし、それをミーティーに感じるのも不思議ではないでしょう)。

今回のボトルも、二年放置コースでサルファリーはミーティーに変わってきている印象です。さらに放置することで、完全に硫黄が抜ける可能性もあると思います。そういう変化にゆっくりと向き合えるのも、モルトラバーの特権と思っています。最初の印象にとらわれず、ゆっくりと付き合っていきたいボトルだと思いました。