グレンタレット 1987 29年 シグナトリー 信濃屋向け 52.7%
評価:A++
香りはカカオ豆、花密、ハチミツ、バタースコッチ、オレンジ、桃。
のむと熟れたアプリコットやオレンジ、軽いヘザー、ナッツクリーム、程良いタンニンやバニラ、引き締めるウッディネス。
久しぶりの更新となってしまいましたが、信濃屋×シグナトリーのPBより、グレンタレット1987です。
前回のロッシーと一緒にリリースされたボトルです。
グレンタレットと言えば1775年に創業で、現存するスコッチで最古の蒸留所、タウザーのスコッチキャットとしての伝説で有名な蒸留所かとおもいます。現在はエドリントングループで、蒸留所のビジターセンターは、フェイマス・グラウスのビジターセンターと兼用になっているようですね。
このボトルは前評判がかなりよく、ネット販売は1分以内に売り切れるほどの人気だったと記憶しています。2度ほど飲む機会があり、テイスティングしましたが、モモヤオレンジ、花蜜といったフルーツ感やフローラルなニュアンスに、ナッツやバターのような甘みが混じり、確かに前評判通りの美味しいウイスキーでした。良い出来のグレンタレット、と言ったところでしょうか。野球で言うなら2ベースヒットのような、この価格でこの味ならかなり良いチョイスだと思います。やはりシグナトリーは色々と良い樽を持っているようですね。これから日本向けのリリースもふえていくんじゃないでしょうか。これからのリリースが楽しみに思えてくるようなボトルでした。
これから1ヶ月程度、私的な用事が重なったり3週間位風邪を引いてしまい飲酒を極力控えていたことなどがあり、更新頻度が少し落ちるかもしれませんが、細々と表現の練習として行っていけたらと思います。宜しくお願い致します。
グレンロッシー 1992-2017 24年 シグナトリー 信濃屋向け 57.4%
GLENLOSSIE 1992-2017 24yo H/H #3454 SIGNATORY FOR SHINANOYA
700ml
Alc:57.4%vol.
278 btls
評価:A+-A++
香りはオレンジオイル、キウイフルーツやパイナップルの缶詰め、フルーツタルト、少しワクシー、奥から木香やハーブ。
飲むとオレンジ、香り通りのミカンや桃の缶詰を乗せたフルーツタルト、レモンクリーム、まだ固くスパイシー、ウッディ。
先月、SHINANOYA×SIGNATORYの初めてのコラボとなったグレンタレットとグレンロッシー。すぐに売り切れてしまい、悔しい思いをされた方も多いのではないでしょうか。
自分はグレンロッシーのみは買えたのですが、グレンタレットはバー飲みを2回した程度、ロッシーも何回か飲む機会に恵まれましたので、久しぶりのテイスティング記事ですが書いていきます。
グレンロッシーはロングモーン、グレンエルギン、ベンリアックなどの近く、エルギンの南にあるトムスヒルにある蒸留所で、創業は1876年、グレンドロナックのマネージャーも務めていたジョン・ダフによって創業されました。1896年にはグレンロッシー・グレンリベット・ディスティラリー社が設立され、1919年にはDCL社に参入、1930年代にはSMD社による経営が続いていました。1962年にはポットスチルを4基から6基へ拡張し、1971年には同所に拡張された蒸留所が建設されました。これがマノックモア蒸留所で、こちらも現在はディアジオ社の所有です。
カラ松製のウォッシュバックが8基あり、発酵は75-80時間、これがグラッシーな印象を与えているのではないかと言われています。
リリースとしては1990年より花と動物(Flora&Faura)より10年、2010年には1999年蒸留のモルトを詰めたマネージャーズチョイスがReleaseされました。基本的にはブレンド用ですので、オフィシャルからのシングルモルトのリリースは多くありません。
さて、今回はシグナトリーとの初のコラボとのことですが、勝手な憶測ですがシグナトリーが様々なボトラーに提供しているところをみると、いままでシグナトリーと提携できなかったのは輸入代理店の影響が大きいんだと思います。TWHもボトリングにあたって瓶の形状を交渉したりなどしていた過去がありますし、信濃屋さんも恐らくかなりの交渉をされたのではないか、と察します。
そんな中満を持してリリースされたボトルですが、どちらもシグナトリーらしく、コスパの高く、今までのPBを踏襲するようなボトリング、という感想を持ちました。
このロッシーに関して言えば、まだスパイシーさが強いですが、今でも十分フルーツ感が楽しめるボトルですし、今後瓶熟でこなれてくると、意外でさらに美味しいボトルになると考えています。自分は暫く寝かせようと思います。レートも悩ましいところですが、角が取れたあたりで複雑さが増しそうで、今後更に高いレートになると思います。
今の時点で十分楽しめるタレット、今後ものすごく美味しくなると勝手に期待してるロッシーと、ナイスな2本でした。シグナトリーは敬遠する方も多そうではありますが、少なくともメジャーのボトラーでさえ原酒をあまり確保できていない状況に鑑みると、今後更に存在感を増しそうな蒸留所だと思います。今後のリリースも楽しみですね。
東京遠征回想②
前回からの続きです。
グレンタレット 1976-1986 58.7%
短熟ですが芳醇なフルーツ感を纏った恐るべきボトル。はっきりと香味が主張してくるのは、この短熟+瓶熟のせいなのでしょうか?何れにせよ非常に美味しかったです。
アードベッグ 1975 フランス向け
素晴らしいシェリーのニュアンスと往年のアードベッグらしい香味。経験したことのない美味しさでした。
クラガンモア 1986 30年 オールド&レア
評判の高いオールド&レアのクラガンモア。価格こそアレですが、このチョイスにしたのも納得の美味しいスペイサイドモルトでした。
スプリングバンク 1992
このバンクも非常に美味しかったです。92とか94あたりのビンテージのバンクは自分も好きなものが多いです。
これだけの色んなモルトをいただきながら朝まで飲み続け、土曜日も飲みにふけっていました。
あんまり書くこともなくなったのでこれでこのシリーズは一旦終了とします。
印象に残ったモルトを何個か並列で書いたほうが良さそうですね。
東京遠征回想 その①
前述の通り、テイスティングのストックがなく禁酒していたので、たまには備忘録として飲んだボトルを並べてみようと思います。7/28-30まで3日間、1泊3日でずっと飲んでいました。今回は簡単に一言感想を書きながら振り返っていこうと思います。
7/28
仕事を終え、駅まで車を飛ばし(自宅から駅まではかなり遠いんです)終電の新幹線で東京駅に着き、そのまま山手線で有楽町へ。
死ぬまで飲む勢いだったのですが、本調子ではなかったのでゆっくりと飲ませていただきました。
朝まで飲めるまで飲ませていただきましたが、素晴らしいモルトばかりで感動いたしました。多少無理しても来てよかったと思える、素晴らしい日でした。
1.マクファイルズ ピュアモルト 1945
終戦の年にリリースされたオールドボトル。
40年台のモルトを飲むのは2回めで、前回はコテコテシェリーのストラスアイラでしたが、経年変化にもかかわらずしっかりとした麦感やアーシーなニュアンスが特徴的でした。すごいボトルでした。
2.マキロップチョイス ジュラ 1966
赤いフルーツやちょっとしたオイリーさもあり、複雑で美味しいボトルでした。
ジャコーネのグレンファークラス21年。加水。
これも素晴らしいですね。優しいフルーツ香にオールドのシェリーがきれいに主張してきますが、しっかりとしたファークラスらしい麦感や土っぽさも顕在しており、そのバランスが絶妙に感じました。状態も抜群でしたし、素晴らしいボトルでした。
グレンリベット エクスポート
個人的に驚いたボトルの一つ。
70年台のリベットで、以前に2度ほど飲んでいましたが、今回飲んだのはいままでと全く違うものと言ってもいいくらいの感動でした。
オールドっぽいシェリー感やフルーツ感に程よいタンニン感。これがグレンリベットか…と言わしめるような素晴らしいボトルでした。ものすごい状態も良かったです。
ボウモア バイセンテナリー 正規輸入品
人生レベルでトップクラスに入るモルトと言っても過言ではないくらいの素晴らしさ。トロピカル感もそうなんですが、シェリーやレザー感も複雑に混じり、言語化しようとしても感情が先行してしまうような、それくらいの素晴らしさ。慈悲深いモルトでした。
グレンファークラス 1977 for TWH
ウイスキーフープ向けの77ファークラス。
プレーンカスクとのことですが、程よいフルーツ感にプレーンらしいピーティなニュアンスがあり、複雑でかなり美味しいボトルでした。
ファークラス、フープでいかれる度に素晴らしいカスクに出会えているようで、今の時点でこれだけ素晴らしいカスクがReleaseされていて、今後が楽しみでなりません。
ロングモーン 1975 EX-BOURBON HOGSHEAD TWA STILL LIFE
スティル・ライフシリーズの75ロングモーン。このあたりのロングモーンはシェリーが多い印象ですが、こういうスペックもあるんですね。嫌味のない美味しいフルーツ感がたまらなかったです。
タリスカー リンブルグウイスキーフェア向け モルトオブスコットランド
1994-2012のタリスカー。リンブルグウイスキーフェア向け。
リフィルシェリーとのことでですが、少しミーティーなのが印象的でした。タリスカーらしい潮感やフルーツ感もあり、美味しいボトルでした。
スキャパ 蒸留所限定 2017年ボトリング
2006-2017年のスキャパ。リフィルシェリーバットとのことですが、程よいプラムのような果実感やシェリー感があり、なんとも美味しいスキャパでした。こういうの家にあると幸せな気がします。
グレンロセス 2006 67.2% #5454 for UK
UK向けのグレンロセス。これは買いましたのでいつか飲んだときに記事にしようと思っていますが、バナナのようなニュアンスを感じ、複雑さに寄与している気がします。
まだまだハイプルーフで飲みごたえも抜群なのですが、経年変化でどうなるか気になるところです。秩父でも似たようなニュアンスを感じたことがあるような。今でも十分美味しいですし、今後が楽しみなボトルです。
グレンスコシア 25年
アメリカンオークで熟成された25年、まだ本国にしか発売されていないようですが、£250くらいだった気がします。
さらっとテイスティングコメントを書いていたので後日紹介する予定です。
£300くらいで本国で発売されている、95年蒸留のポートカスクのスプリングバンク。
詳細は聞いていませんが、向こうのネットショップで売っています。
チョコレートやプルーンのような見た目通りの香味で美味しかったです。
長くなってしまったので続きはまた今度書きます。
イチローズモルト 2010-2015 for Whisky Talk 2016 FUKUOKA 59.4% "オオサンショウウオ"
評価:A+-A++
香りはチョコレート、チェリー、少しミーティ、干し柿、ダージリンティー、程よいウッディネス。
飲むとチョコレート、干しぶどう、しっかりとした麦のコク、バニラ、ややスパイシー。
秩父蒸留所のイチローズモルトより、昨年のウイスキートーク向けのカスクです。
そのラベルから、所謂オオサンショウウオとして人気の高いボトルだったと記憶しています。
このボトルはまずバーボンバレルで樽詰めされた後、スパニッシュオークのシェリー樽で熟成させた、ダブルマチュアードのボトルのようです。
殆ど開けたてでしたので、硬い印象がありましたが、嫌味のないチョコレートやチェリーといった香味や、紅茶感などがあり、飲み疲れしないシェリー香味がありました。原酒がフルーティーで軽めなのも影響しているのかもしれません。
秩父蒸留所では、おおよそ8000樽の樽が熟成されていますが、見学した際には、1年に1回はテイスティングを行い、状態を確認していると言っていました。このボトルも途中でシェリー樽への詰替が行われていますが、このような原酒の確認によるカスクマネジメントが功を成しているものと推察します。にしても、良いチョイスだと思いました。
レートは悩みますが、次回飲んだときは更に好印象になっていることを期待して、A+としておきます。
※先日東京訪問などをしておりましたが、その前後より風邪を引いてしまい、病み上がりで飲みすぎたせいもあり、炎症が続いているようです。幸い快方に向かっておりますが、療養も兼ねて少し禁酒をしており、ブログ更新が滞っておりますことをご了承下さい。
ローズバンク 1991-2007 16年 the Whisky Experience 56.1%
評価 S
香りは白い花、シトラス、チェリー、ワックスのかかったレモン、バニラ、華やかな木香。
飲むとジンジャーレモネード、シトラス、しっかりとした麦のコク、高級家具、バニラ、余韻は優しいウッディネス。
当時、ザ・ウイスキー・エクスチェンジ社より2007年前後に単発で販売されていたリージョンズ・ウイスキーシリーズより、ローズバンク、1991年のリリースです。
1840年に地元の穀物商であったジェームズ・ランキンが精麦棟を改修して作ったと言われるローズバンク。ローランド伝統の3回蒸留を行う蒸留所で、1914年よりSMD社の所有となり、1993年に閉鎖が決定しましたが、現在も惜しむ声が多いと思います。
このボトルはリリースより10年ほど経過しておりますが、そのためかローズバンクっぽいシトラスやフローラルなニュアンスがはっきりと感じられ、樽感もそこまで強くなく、今丁度飲み頃ではないかと思えました。
個人的にはローズバンクのか細い良さというのはわかるときとわかりにくときがあるんですが、これははっきりと分かりやすいらしさが拾えます。熟成年数もちょうどいいのかもしれません。ナイスなタイミングで飲ませていただいた、大変美味なローズバンクでした。
アルタベーン 1995-2010 ゴードン&マクファイル コニッサーズチョイス
評価:A+
香りはエステリー。ユリの花、蜂蜜、洋梨、モルティ、バニラ。
飲むとスパイシーでドライ。みずみずしさを伴う麦のコク、バニラ、スパイス、強めの渋みを伴う樽感、余韻はドライ。
ゴードン&マクファイルのコニッサーズ・チョイスより、1995年のアルタベーンです。
1975年にブレンド用の原酒製造目的でシーグラム社が設立したアルタベーン。ブレンド用の使用が多いようで、あまりシングルモルトのリリースは多くない印象です。自分は外では飲む機会はなく、たまたま買ったボトルが二本くらい家にある程度です。
特徴的な点は、ウォッシュバックは下部が円錐状になっており、麦汁の抽出が効率的なこと(ハスクの層が濾過しやすく堆積するのでしょう)、ウォッシュスチルの加熱にエクスターナルヒーティング*1を行っていること。スチルはストレート、ボールタイプが2対あります。熟成はシーバス社のキースの集中熟成庫で行われているようです。
さて、このボトルですが、いつ開けたかも忘れたまま放置していたのですが、この前我が家で飲み会が開かれたときにとある方が気に入られたため、「そんなにおいしかったっけ?」ということで久し振りにのんでみました。
香りはかなりエステリーで、確かに華やかなスペイサイドの原酒のような、この価格帯とは思えない香りでした。飲むと意外にドライで、加水で無理矢理バッティングさせた感は否めませんが、4000円くらいで買ったことを考えると、トータルでみても中々おいしいと思えるボトルでした。
*1:もろみを外で加熱し、その後戻す方式。グレンバーギー、ミルトンダフ、グレングラッサ、グレンカダムなどで行われているとのことでした。