ウイスキーラヴァーの日常

シングルモルト、ウイスキー好きのサラリーマンが、ウイスキーを通じて感じたこと、思ったこと、考えたことなどを綴るブログです。

タリスカー 2008-2014 6年 ヘップバーンズ・チョイス 59.7%

 週末は小旅行に行っていまして、記事を書く暇が全くありませんでした…。モルト旅行ならまだしも、週末は朝から夜まで運転手でしたので、飲む暇がまったくなく、食と仕入れに徹していました。

道中は下のブログに書くこととして、テイスティング記事をせっせとアップしていきます。

giny.hatenablog.jp

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評価:A++
香りは生搾りのグレープフルーツやシトラスのジュース、ハニーシロップ、バニラ、しっかりとした麦のコク。
飲むとオレンジ、ハニーシロップ、グレープフルーツ、磯っぽさとスモーキーなピート、余韻は長く、スパイシー。
 
ハンターレインの子会社、ラングサイド・ディスティラーズからはタリスカー6年です。茨城は鹿島に3店舗構える、パブリックバー アイランズさんの10周年記念にボトリングされたものです。何故かホームバーにあり、久しぶりに飲む機会がありましたのでテイスティングしてみました。
 
タリスカーは説明不要のスカイ島の蒸溜所で、1930年にマッカスキル兄弟により設立され、その後所有が転々としますが、1989年にダルユーインと合併、再建され1925年にはDCL社の傘下に入ります。1960年には一度大規模な火災が発生していますが、ポットスチルは忠実に再建され、現在MHDの主要なモルトウイスキーとして、生産がなされています。
 ポットスチルは初留2基、再留3基と変則的で、更に初留器のラインアームがU字型に曲げられており、このためにパワフルなスピリッツが出来ると言われています。
 
 スカイ島はかつて幾つか蒸溜所があったようですが、現在はタリスカー蒸溜所のみ…と言われていましたが、最近トラベイグ蒸溜所が出来たようです。こちらも稼働しているとのことで、今後が楽しみです。
 
さて、このタリスカーですが、開いたのが1年くらい前だったと記憶しています。開けたてはかなりスパイシーで若い印象でしたが、今飲むと思った以上にフルーティーで、シトラスの香味が広がる、美味しいモルトでした。グレープフルーツやシトラスの香味、磯っぽさなどは、中々6年ものとは思えないバランスの良さでした。開栓後の変化で、今はかなりいい方向に振れていると思います。以前より美味しく、突き抜けたいっぱいに思えました。Bar Islandさん、伺ったことはないですが、機会があれば行ってみたいなと思える、そんな周年ボトルでした。

カネマラ 22年 46%

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※2枚目の画像はAmazonより転載

 
評価:A+
香りは華やかで、ハニーシロップ、バニラ、焼けている木材、カリカリの梅、アーシーでピーティー。
飲むとさらりとした口当たりに、ハニーシロップ、オレンジ、バニラ、焼きカラメル、木のえぐみ、焼けた苔やシダ植物のようなピート感、焦げた樽感、ジンジャー。余韻は短く、生木のニュアンス、やや水っぽい。
 
アイリッシュウイスキーのクーリー蒸溜所より、カネマラ22年です。
 
クーリー蒸溜所は、1989年に創業し、ピーテッドタイプの麦芽の使用、単式蒸留器での2回蒸溜など、スコッチウイスキーに近い製法で作られているウイスキーです。一部はキルベガン蒸留所にて貯蔵されています。ピーテッドタイプはカネマラとして出荷されています。
 
このカネマラ22年は、最古のバーホンカスクのバッティングのようですが、それらしいハニーシロップやバニラのようなニュアンスがありました。また木材やアーシーさもあり、一昔前のピート感があります。飲むと樽感が気になりましたが、概ね上手く纏まってる美味しいウイスキーでした。
 
個人的にはこのアーシーさや焦げ感の強いピートはあんまり得意じゃないのと、あわよくば加水ではなくもう少し度数が高ければ…と思うところはありましたが、この時代のカネマラを飲むことが出来満足です。サンプルくださったT様、ありがとうございました!
 

タリバーディン 1993 23年 48.7% Sakura

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※2枚目の画像はsaketryより転載

評価:A+
香りは柔らかく甘い。ミルクキャンディー、バニラ、オレンジピール、少し青草や花びら。
飲むと滑らかな口当たりに、甘さ控えめのビターなミルクココア、少しあとからバニラシロップ、スパイシーやハーブ。
フィニッシュは樽のエグミや草っぽさ、少し粉っぽい。
 
先日リリースされたスコッチモルト販売さんのボトル、Sakuraシリーズより、1993 タリバーディンです。
 
 20世紀最初に設立されたスコットランドの蒸溜所として、1949年にジュラやマクダフ、グレンアラヒーなどを手掛けていたデルム・エバンスにより設計された蒸溜所で、その後すぐに買収されています。1971年にはインバーゴートン社がオーナーとなり、1973年には増築されましたが、1993年にホワイトマッカイに買収、94年からは暫く操業停止の時期が続いていました。2011年にワイン商のメゾン・ミッシェル・ピカールが買収し、以後シングルモルトのリリースを目標にリリースを行う方針となりました。現在はワインカスクフィニッシュなどのフィニッシュものや、ハイランドクイーンへのブレンドなどを行っています。
 蒸留所内にボトリング施設を持っている数少ない蒸溜所の一つであり、ハイランドクイーンやコストコ向けのカークウォールのウイスキーのボトリングなどを行っているようです。
 酒質は南ハイランドらしい軽さやグラッシーさを伴っているものが多い印象です。エヴァンスが設計した独特の構造によるものなのか、地域性なのかはわかりませんが…
 
 さて、この度シークレットヤングアイラと共にリリースされたSakuraシリーズのタリバーディンですが、サンプルの量しか飲めていませんが、結構美味しいボトルでした。香りは最初フルーティーでしたが、時間経過でミルクキャンディーやバニラなどのらしい香りが前面に出てきており、またタリバーディンらしい草っぽさが梅の花のように振れるようにも感じました。樽感やえぐみがあってスパイシーではありますが、タリバーディンとかにある草っぽさがそんなに強くなくて、度数も程良く落ちて飲み頃と思います。やや樽のネガティブさも感じられるので微妙なニュアンスが全く無いわけではないですが、程よいらしさがあります。個人的にはこういうボトルは好きです。
SAKURAというネーミングセンスがしっくり来る、良リリースだと思いました!
 
 
 
 

 

 

アベラワー 16年 2016年ボトリング ハンドフィルド シェリーカスク 56.5%

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評価:A+

香りは硬めのプラム、スパイシー、軽くミーティー、クレヨン。
飲むとプラムのグミ、粘性がありリッチ、カカオの多いチョコレート、バニラ、シナモン。余韻はスパイシーさが残る。
 
 スペイサイドの中央に位置し、アベラワー皮時に建てられているアベラワー蒸溜所。1825-26年頃に設立されたとの記載がありますがが、どうやら事業計画の失敗でグラント兄弟が引き継ぐこととなり、1840年にはグラント兄弟がグレン・グラントを設立するために去るなどしていたようです。
現在の地に蒸溜所が建設されたのは、1879年に大規模火災が起き、当時ダルユーインを運営していたジェームズフレミングにより建設されました。ヴィクトリア朝の美しい建物だったようで、その後ロバートソンに買収されてますが、1898年にも再度火災が発生し、再建されたと行った経緯があります。
 1974年にはペルノ・リカールが買収し、その際に近代的な設備が付け加えられました。現在はペルノ・リカールシングルモルトとして、グレンリベットと共に主力のシングルモルトです。2002年にはビジターセンターを一新し、また特にフランスでは350万本を超える出荷数を誇る、ベストセラーのボトルになっています。
スタンダードクラスでは12年、18年がリリース、またカスクストレングスのアブーナもリリースされております。18年はこの前のウイスキーガロアでも高評価のボトルでした。
 
さてこれは蒸溜所で自分で詰めることの出来る、ハンドフィルドボトルです。打ち合わせのときも含め、何度か飲む機会に恵まれましたので飲んでみました。あまり複雑さはないものの、粘性が高く嫌味のないシェリーカスクで、少しオイリーや機械油のニュアンスもありましたが、純粋に美味しいと思えるボトルでした。アブーナも含めて、アベラワーは安定して良いボトルが多いですね。人によっては評価をA++位にしてもいいかもしれません。よく出来たシングルモルトだと思います。
 

長濱蒸溜所を見学してきました。

先日、長濱蒸溜所に行ってきました。

偶々長距離ドライブの寄り道(寄り道ってレベルじゃなかったですが)に長濱に降りてみました。見学出来るか電話をしてみると、レストランから見たりすることが出来るとのこと。近江牛という言葉に釣られつつ、行ってみることにした次第です。

長濱インターから降りて大通りを曲がると、少し趣のある街並みを通る結構細い道を進んでいきます。「本当にこんなところに蒸溜所?ナビが間違えているんじゃ?」と思いながら道を勧めていくと、蔵を改築したと思われる建物に確かに「長濱浪漫ビール」の文字が。米蔵を改築したところのようですね。

元々はクラフトビールづくりをされており、20年程前から製造されているようです。

レストランに入り、ビールと近江牛を注文。ハンドルキーパーのため飲めなかったのですが、同乗者はヴァイツェンを気に入っていました。IPAも飲んでいましたが、Punk IPAを少し爽やかに飲みやすくした感じだったようで、ブルワリーとしての実力も伺われます。

 

 さて、見学です。遠目でしか見れませんでしたが、ポットスチルはこんな感じでした。ポルトガルのホヤ(HOGA)社製の独特の形状のポットスチルで、エデンミルなどが採用しているようです。

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室内には樽がダンネージのように置かれていました。

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こちらは新しく詰めたものでしょうか。Lightly Peatedの記載があります。

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火入れ式で初めて詰められたミズナラ樽です。

www.romanbeer.com

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モルトミル、マッシュタン、ウオッシュバックなどはビールと供用しております。

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飲めないままの訪問だったのが残念でしたが、職人さん方が忙しなく製造管理をしておりました。今後のリリースが楽しみになる蒸溜所でした。

ボウモア 1996-2011 15年 ウィルソン&モーガン 57.3% シェリーフィニッシュ


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評価:A++
香りは焦げた木、しっかりとした麦、甘く煮詰めたプラム、らしいピート、ヨード感。
飲むと口当たりは軽やかで、プラムやアップルのコンポート、マラスキーノ、ピート、生姜、シナモンシュガー、程よい樽感。余韻は短めで、やや強めのタンニン。
 
ウィルソン&モーガンが2011年頃にリリースした、1996年蒸留のボウモア、15年熟成です。
このボトルがリリースされた頃は、恐らく1993に代表される90年代前半のトロピカルなボウモアが流行っていた頃で、90年代後半蒸留はまだまだ売っていた時期かと思います。1994年にはサントリーが完全子会社化しましたが、90年代後半までの優秀なリリースは、サントリー介入が関係していると思わずにはいられません。
個人的には96-98辺りのリリースにも好みのものが多く、これも開栓が楽しみなボトルでした。
私のホームバーでは、マスターが仕入れに行く酒屋の好みもあり、ウィルソン&モーガンが必ず一本は開いてるんじゃないかと言うくらいウィルソン&モーガン推しのバーで、自ずと飲む機会の多いボトラーの一つですが、確かにできの良いものが多い印象です。特に今回のようなシェリーカスクフィニッシュなどのフィニッシュものでも美味しいものが多く、カスクマネジメントのレベルの高さを感じさせます。
 
このボトルも例外ではなく、やや樽のコテコテ感はありますが、赤い果実の砂糖やワイン漬けのような、甘くフルーティーなニュアンスに、90年代後半のニュアンスも感じ取られ、程よいフィニッシュものに感じました。
 
今年に入りウィルソン&モーガンのインポーターが成城石井からePowerに変わったようです。5月には2種類程度リリースされると聞いています。今後のリリースも楽しみです。
 
 
 

スプリングバンク 2000 16年 UK向け

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評価:A++
香りはしっかりと力強い麦感、イチゴ、ブリニーとシェリーのリッチな香りが混ざり合う。少しアーシー、奥からピート、古びた納屋、オイリー。
飲むとプラムジャム、プルーン、キャラメル、苔のようなピート、魚介だし、グレープフルーツのわた、深みのある麦感、程よいピート、スパイシー。
 
スプリングバンクのオフィシャル、2000年蒸留の2016年リリース、UK向けのボトルです。
 スプリングバンクと言えば、キャンベルタウンにある数少ない蒸溜所で、未だにJ&A・ミッチェルによる独立資本での経営がなされている蒸溜所です。自社でボトリング設備を有している数少ない蒸溜所で、その設備は同社の所有するボトラー、ケイデンヘッドのボトリングにも利用されています。また、特筆すべきはすべての麦芽をフロアモルティングで賄っており、昔ながらの製法を踏襲した、昔のモルトらしい香味を作れる、数少ない蒸溜所の一つと言っていいでしょう。ピートは近くのマクリハニッシュの土地から切り出し、このピートの炊く時間により3酒類の原酒をつくりわけます。ヘーゼルバーン、ロングロウはそれぞれスプリングバンクのノンピート・ピーテッドを指します。創業は1828年で、今から10年先のバイセンテナリーが楽しみな蒸溜所です。
 
さて、このボトルはUK向けのシェリーカスクなのですが、バットで16年熟成ということもあり、シェリーと原酒の混じり具合が良い感じです。麦感もバンクらしく力強いですが、嫌な要素があまりなく、多層的なフレーバーを感じます。飲み進めていく度にコロコロと表情を変え、今後もっと香味の変化がありそうです。さすがのバンク、素晴らしい出来でした。