余市 NA 旧ボトル
評価:A
香りは若く、乳酸系のフレーバー、しっかりとした麦芽、焦げたピート、少しエステリーでオレンジの皮。
飲むとしっかりとした麦感、食パンの白い部分、少しピーティや塩辛さ。
旧ボトルの余市、NAです。
先日、ふと余市を飲もうと思い立ったときに、開栓している余市がないことに気づき、とりあえず取り出しやすい位置に置いてあったので開けた一本。終売後に見つけたミニボトルで、ドラッグストアーでものすごく格安で売っており、とりあえずで買ってみたボトルでした。
もう何年も飲んでいませんでしたが、昔飲んだ余市はもっとアルコール感の強い余市だった気がしましたが、これは若いなりに結構楽しめる香味で、正直「あれ、こんなに美味しかったっけ」と思えるボトルでした。ニューポッティ感はあるんですが、最近はこういう短熟でニューポッティなリリースも結構多いような気がしますし、価格を考えればかなりすごいコスパだったんだなあと。
勿論そんなに多層的なフレーバーがあるわけでもないのですが、この価格帯でこれほどのレベルをリリースしていた、ニッカの凄さを再認識することとなりました。
現在のニッカのラインナップはちょっと寂しいところもあるのが正直なところですが、やはり今までのリリースが異常であって、ここまで良心的な価格でのリリースをしないと、ニッカは生き残れなかったんだろうと推察します。ここまで安くなることは今後しばらくはないでしょうが、この若さでも良い原酒だと再認識できましたし、この調子で原酒が育って、良いリリースがまた出てくると良いなと思いました。
ボウモア ホワイトサンズ 17年 43%
評価:A+
香りはトロピカルとピート。柿、ビワ、パッションフルーツ、ピート、少し紙っぽさ、焦がした麦。
飲むと口当たりはさらりとしており、パイナップル、桃やチェリーの缶詰、ジューシーさにしっかりとしたスモークとピートが混じる。
ボウモアが2014年ころにリリースした免税店向けボトルから、ホワイトサンズ17年です。
逆算して1997年からそれ以前のリリースが使われていると思われ、トロピカルが主体の90年代中後期のボウモアが使用されているというのは気になるところで、実際中々評判の良かったボトルだったと思います。
久しぶりに飲もうかなーと思いテイスティングしてみましたが、やっぱり結構美味しいです。
ちょっと紙っぽさこそありますが、しっかりと時間を掛けて飲むとトロピカルや黄色い果実感、それとピートがしっかりと混じっており、飲みくちはさながらトロピカルジュースのようで、確かに中々良い出来です。
気軽にこの辺りのリリースを飲みたいときには、このボトルも選択肢になるかもしれませんね。まだ販売しているみたいですし、ご興味のある方は試してみても良いんじゃないかと思います。
アラン 2001 14年 53.6% #908
評価:A+
香りはヘーゼルナッツシロップ、青草、華やかな麦の香り、オレンジの皮。
飲むとナッツ、オレンジ、ハニーシロップ、最中皮、しっかりとした麦のコク、少しグラッシー。
さて今回は久し振りにアランを飲もうかな、と思いこちらをテイスティング。95年設立で、今年22年目になるアランですが、これは2016年に発売されたウイスク・イー向けのものです。価格も8000-9000円程度で、そこまで高くなく、高騰したこのご時世にシングルカスクでここまで安く提供してくれるのはアランの良さかと思います。開栓して半年弱程度だったと思いますが、大分まとまりが出て来て美味しくなりました。
アランはもう少し麦感が強いイメージを持っているんですが、これはバーボンでしっかり仕上げてきており、よいバーボンの熟成のボトルでした。あんまりアランという感じがせず、シロップや米菓子のような甘味が印象的で、中々美味しかったです。
ウエストコーク10年 カスクストレングス 57.3%
評価:B+~A
ウエストコーク、全然情報がありませんが、ミドルトン蒸溜所の近く、アイルランドの南にあるコーク州西部の海岸にウエストコークという地区があり、そこで2003年から設立された蒸溜所のようです。元スプリングバンク蒸溜所のマスターディスティラー、フランク・マッカーディ氏をアドバイザーとしているようですが、どれほど関わっているんでしょうか…。ウイスク・イーさんが輸入代理店で、時々日本に引っ張ってきているみたいですね。
アイルランド産の麦芽で製造しているようですが、Irish pot still whiskeyではなく、あくまでシングルモルトとしての生産をしていて、日本にはカスクストレングスと10年が流通しているようです。
こちらはシングルカスクで、このボトルの情報が全然ないんですが、ラベルを見る限り、1st fillのバーボンカスクで10年熟成したボトルで良さそうです。
実際の香味ですが、香りはラムネ菓子やツンとする若い麦の香りが主体ですが、パッションフルーツやライムなどのバーボンカスク由来であろう香味も見られます。ただ飲むと若々しい麦感や紙っぽさ、香草の独特の香味があり、人を選びそうな味です。一方でメロンや花、オレンジっぽさもあり、こなれてくれば良い要素もありますし、ものによってはかなり美味しいモルトもできそうですし、今後の変化では美味しくなるのかもしれません(年単位でかかるとは思いますが…)。
ちょっと自分には合わないボトルで、普段こういうのはあんまり掲載しないんですが、面白いボトルでしたので掲載してみました。他のラインナップがどんなものなのか、気になるところではあります。
【再テイスティング】ボウモア 1998-2014 16年 ハンターレイン Old Malt Cask 57.5%
イチローズモルト秩父 single cask PX For MMWM 2014
評価:A+
香り プラム、チェリーブランデー、キャラメル、レーズンバター、ドイツパン。
飲むとフルーツとスパイスが混ざり合う。レーズン、ジンジャー、りんごのコンポート。余韻はスパイシーでオーキー。
イチローズモルト秩父より、2014年のモダンモルト向けのボトルです。
2010年蒸留、2013年に2nd caskの表記があるので、ダブルマチュアードまたはカスクフィニッシュ的な位置付けかと思いますが、記載には PX SHERRY spanish Oak Hogsheadとなっており、2nd caskの詳細は不明です。
プラムやチェリーブランデーのような香りや、ちょっとスパイスを感じる果実感はまさにスパニッシュオークでペドロヒメネスの甘味が混じり合った結果なんだろうと思いますが、3年熟成という熟成の短さが影響しているのか、そこまで嫌味に感じられず、若さもそんなに感じないところまで熟成しており、良いところてまボトリングしたのかなと思います。
2010年蒸留ころから、秩父はフルーティーが目立つようになってきて、原酒も洗練されているように思います。これからのリリースにも期待ですね。